深緑の珈琲店
BGM
恋の音色ライン
脚本家
親衛隊
投稿日時
2016-01-18 22:42:53

脚本家コメント
間に合った。志保誕生日おめでとう。
本作はシリーズものです。
前作 夜宴
http://imas.greeーapps.net/app/index.php/short_story/info/uid/1300000000000031424/seq/423
チョコレート云々の意味は同シリーズの『甘い星』より。
――
ようやくここまで来れました。
シリーズを始めた段階でこの回の構想はあったのですが、繋ぎがまったく定まってなかったせいで時間がえらい掛かりました。猛省。
BGMは音色ライン。KOH氏天才ですね。

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水瀬伊織
「……久しぶり、ね」
北沢志保
「そうですね」
水瀬伊織
「その……内装、結構変えたのね。中々いいじゃない」
北沢志保
「ええ」
水瀬伊織
「……」
北沢志保
「はぁ……。いつまでそんな所で突っ立っているんです?」
北沢志保
「いらっしゃいませ、ですよ。店長」
水瀬伊織
「あ……」
北沢志保
歩み寄り、そっと彼女の手を取った。
北沢志保
「ずっと外にいたんですね。こんなに冷たくして……もう」
水瀬伊織
「志保、私……」
北沢志保
「話は後で聞きます。とりあえず座ってください」
水瀬伊織
「……ええ」
北沢志保
別れの日と同じ、頼りない灯りの下。
北沢志保
カウンターまでのたった数歩、なるべく小さな歩幅で歩く。
北沢志保
今度は離さないように、手はしっかり握ったままで。
北沢志保
「珍しいでしょう? こんなに散らかって」
北沢志保
「カウンター席しか座れる場所がないんですよ」
水瀬伊織
「……そうね。初めてかしら」
北沢志保
他愛ない会話。
北沢志保
私の、願っていたものだった。
北沢志保
「では、珈琲を淹れますから」
水瀬伊織
「ええ、ありがとう」
北沢志保
「……」
水瀬伊織
「志保?」
水瀬伊織
「その……離さないと淹れられないわよ?」
北沢志保
「……少しだけ」
北沢志保
「あと少しだけ……待っていてください」
北沢志保
――――――
北沢志保
サイフォンの前で軽く深呼吸。
北沢志保
いつも通り、大丈夫。
北沢志保
フラスコの温度、珈琲の分量、沸き加減……よし。
北沢志保
お湯が上がってきたら数回攪拌をし、数十秒置く。
水瀬伊織
「……上手になったのね」
北沢志保
「当たり前です。何度も練習しましたから」
北沢志保
火を消し、再度攪拌の後に抽出。タイミングもばっちり。
北沢志保
珈琲が徐々にフラスコ内に落ちて、それをカップに移したら……完成。
北沢志保
「お待たせしました。冷めない内にどうぞ」
水瀬伊織
「……ありがと。あら?」
水瀬伊織
「これ……」
北沢志保
カップに添えられているのは、1口サイズのチョコレート。
北沢志保
「特に意味ありませんから」
水瀬伊織
「そう……」
北沢志保
嘘をついた。
北沢志保
嘘は嫌いだ。
北沢志保
だけど、今だけはどうか許してほしい。
北沢志保
本当の気持ちなんて、やっぱり……
北沢志保
恥ずかしくて……言えるわけないんだから。

(台詞数: 48)