七尾百合子
あれ、私、家で本を読んでて……?
水瀬伊織
ようこそ、ここは夢の中よ。
七尾百合子
あ、さっそくネタバレ。
七尾百合子
というか寝ちゃったんですね、私。
水瀬伊織
はあ? どう見ても起きてるじゃない。
七尾百合子
えっと、夢の中なんですよね? だから現実の私は寝ていて……。
七尾百合子
って、そんな事より。
七尾百合子
早く帰って本を読みたいんです。
水瀬伊織
それなら非常階段があるわよ。
七尾百合子
草原に?
水瀬伊織
北の方にあるわ。
七尾百合子
太陽があっちにあるから……失礼ですが、今の時刻は?
水瀬伊織
時刻と方角は関係ないでしょ。
七尾百合子
いや、太陽の方角が。
水瀬伊織
太陽の、方角……?
七尾百合子
私なにか変なこと言いました?
水瀬伊織
まあいいわ。今は正午ね。
七尾百合子
ありがとうございます。急ぎなので、またご縁があれば!
水瀬伊織
ちょっと、そっちは南よ!
水瀬伊織
……って聞いてないし。太陽の方が北だってことも知らないのかしら。
七尾百合子
ふふっ、夢の中はどれだけ走っても疲れないんですね。
七尾百合子
この勢いならすぐに帰って続きが読めます。なんで良いところで寝ちゃったかなぁ。
七尾百合子
というか夢ならわざわざ走る必要なくないですか?
七尾百合子
飛べばいいですよね。いける、今の私ならいける!
七尾百合子
って、わ、わわっ!
七尾百合子
……うぅ、転びました。
真壁瑞希
なんだか、楽しそうですね。
七尾百合子
しかも人に見られてました……。
七尾百合子
はっ、それより! 非常階段を目指してるんですけど!
真壁瑞希
それなら北ですが……急用でも?
七尾百合子
早く帰りたいんです。
真壁瑞希
……コールセンターを、利用してみては。
七尾百合子
誰と話せるんですか?
真壁瑞希
創造主です。
七尾百合子
わお、大御所。
真壁瑞希
うちの創造主は……アフターサービスが売りなので。
七尾百合子
何と戦ってるんですか。
七尾百合子
ともかく創造主様に頼めば良いんですね。電話を貸してもらえますか?
真壁瑞希
持ってません……残念ながら。
七尾百合子
あれ、使わないんですね。
真壁瑞希
必要ないからです。
真壁瑞希
たとえば私は今……ウェットスーツを着ています。
七尾百合子
ずっと気になってました。
真壁瑞希
とても苦しいです。ぴちぴち。
真壁瑞希
ですがこの苦しみは、私の……行動の結果であり、創造主には何ら責任がありません。
真壁瑞希
ですから……必要ないのです。
七尾百合子
随分と達観してますね。
真壁瑞希
……照れるぜべいべー。
七尾百合子
でも脱ぎましょうよ。
真壁瑞希
日焼けするので嫌です。
(台詞数: 50)