夢市場
BGM
TOWN_RMX
脚本家
Կիշիրա
投稿日時
2015-09-21 03:58:29

脚本家コメント
また夢の話です。

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水瀬伊織
好きな夢を見ることが出来るとしたら……
水瀬伊織
と言われて最初に思いついたのはもっと他の場所だったのだけど。
水瀬伊織
実際来てみると、そこは地面と海と空しかない場所だった。
水瀬伊織
味気ないというか楽しくないというか夢に夢が無いというか……
水瀬伊織
こういうのにもセンスが出てくるのね……
水瀬伊織
いやいやいや!センスが出てくるなら私の夢はもっとブリリアントなはずじゃないの!?
水瀬伊織
まあ、最初だしこんなもんよね。
水瀬伊織
それにしても、暗いところを見ると夜なのかしら。
水瀬伊織
あ、月も出てるしきっと夜ね。
水瀬伊織
もしかして光すら作れなかったのかしら。
水瀬伊織
だったら私カミサマ以下じゃない。
水瀬伊織
……
水瀬伊織
そういえば、光は無いのに月はでてるのね。
水瀬伊織
え、じゃあそれって光は多少あるってことでいいんじゃないの?
水瀬伊織
我ながら謎の判定だわ。
水瀬伊織
まあ。でも最初だしこんなもんでしょ。これからこれから。
水瀬伊織
……
水瀬伊織
これ、どこまで行ってもこの景色なのかしら。
水瀬伊織
時間もあることだし行ってみましょう。
水瀬伊織
そんな感じで波打ち際を歩き出したのは、きっと暇だからじゃなくて。
水瀬伊織
ここにいたくなかったから。
水瀬伊織
月があるのに光が無くて、
水瀬伊織
波があるのに音が無くて、
水瀬伊織
ここにいるのに私じゃ無い。
水瀬伊織
こんな場所にずっとは居たくなかったから。
水瀬伊織
というわけで取り急ぎ歩いた。
水瀬伊織
それでも景色は変わらなかった。
水瀬伊織
流石に苛々してきたから走った。
水瀬伊織
それはもう鬼神のごとく走った。
水瀬伊織
どれだけ走っても景色は変わらなかった。
水瀬伊織
これには伊織ちゃんも気が滅入った。メロスならとうに五体投地してる距離だし。
水瀬伊織
そこでしばらく一休みしながら考えたの。
水瀬伊織
なんでこんな所を選んでしまったのか。
水瀬伊織
夢というのは自分の望みの通りになるのではないのか。
水瀬伊織
……きっと誰もが望み通りに出来るわけではないのね。
水瀬伊織
少なくとも私は何も作れなかった。
水瀬伊織
「何もない」を作ってしまった。
水瀬伊織
そして今、その怖さを一番強く感じていた。
水瀬伊織
ふう、とりあえず。
水瀬伊織
私はまた取り急ぎ走った。さっきより本気で走った。
水瀬伊織
きっと私がメロスならあの物語は盛り上がらないでしょうね。
水瀬伊織
まあそもそもいきなり激怒しないけど。
水瀬伊織
まあそもそも政治わかるけど。
水瀬伊織
そんなこんなで伊能忠敬もさじを投げそうな距離を走った時、向うに何かが見えた。
水瀬伊織
確かにさっきまでと違う。砂浜に長く続く何かがあるのが見える。
水瀬伊織
「何もない」に何かがある。これだけで人は嬉しくなるのね。
水瀬伊織
これは良い発見とその場所について、暗い中目を凝らして地面を見てみるとそれは。
水瀬伊織
他でもない私の足跡だった。走っているうちに地球を一周していたらしい。
水瀬伊織
……
水瀬伊織
伊織ちゃんは激怒した。

(台詞数: 50)