横山奈緒
……お、お帰り美奈子。サファリパークの仕事はどうやった?ソフトクリームは美味しかったか?
佐竹美奈子
……
佐竹美奈子
……ゴメンね奈緒ちゃん。ちょっと奥の部屋に行ってていいかな……
横山奈緒
あ、ああ別に構へんけど……なんか美奈子、疲れとるみたいやしな。
水瀬伊織
あんたは食べることばっかりで、気楽でいいわね。こっちは今日、大変だったんだから。
横山奈緒
失礼なこというなぁ。私やかて、レッスン中はお仕事のこと考えたりしとるわ。
横山奈緒
……そう言えば、プロデューサーさんはどないしたん?プロデューサーの車で行ったんやろ?
水瀬伊織
寄る場所ができたから、帰りは別行動よ。あんまり頼りたくないけど、私が家の車を呼んだわ。
横山奈緒
今日は、動物との撮影と、パークでのミニライブやろ?仕事が上手く行かんかったんか?
水瀬伊織
伊織ちゃんがいるのに仕事で失敗するわけないじゃない!甘く見ないでよね。
水瀬伊織
事態はもっと酷いわよ……ミニライブの最中、観客の乱入騒ぎがあってね。
横山奈緒
乱入騒ぎって、大ごとやんか!……今日のニュースでは、何も言うて無かったと思うけど……
水瀬伊織
マスコミの来てないローカルな仕事だったし。お客さんにノベルティ配って箝口令敷いたからね。
横山奈緒
……美奈子が暗かったってことは、美奈子に被害が有ったんか?怪我はしてないみたいやけど。
水瀬伊織
ある意味、もっと辛い思いをしたわよ!
水瀬伊織
乱入した奴に……『胸を触られた』わけ。大らかな美奈子にも、流石にショックの筈よ。
横山奈緒
なんちゅうエロ親父なんや。やりたいと思っても、ホンマにやったらアカン事があるやろ!
横山奈緒
……でも、ステージと観客席の間はスペース空けとったんやろ?素早しっこくても手は届かんやろ。
水瀬伊織
スマホで自分自身を撮影するための、伸び縮みさせられる棒があるじゃない。
水瀬伊織
それの先に、サイリウムを括り付けてね。腕を思いっきり伸ばして、触りにいったの。
横山奈緒
持ち物検査で引っかからんモンやな……そんな知恵出すより、社会の為になる事考えぇや!
水瀬伊織
プロデューサーは、即時退場させたそいつの家よ。警察沙汰にするかは、親御さんと話次第ね。
横山奈緒
その歳になって、そんな事でお母さんに叱られるんか……まあ、職場に言われるよりかはマシか。
水瀬伊織
……奈緒。あんたさっきから勘違いしてるみたいだけど……
水瀬伊織
その乱入者、中学生くらいの奴よ。だから、そいつの事を考えて非公表で済ませようとしてるの!
横山奈緒
……そんなガキがしくさったんかい。若気の至りとはいえ、バカちゃうか。
水瀬伊織
中学生になって、子供扱いなんて駄目よ!あたし自身は、さっさと警察に引き渡すべきだと思うわ。
横山奈緒
(そうやった……伊織も中学生か。『中学生はコドモ』なんて言われたくないわな。)
水瀬伊織
……まあ、そんな事があってもミニライブをやり遂げた美奈子には感心したわ。根性あるじゃない。
水瀬伊織
……でも、心の中ではトラウマレベルで残ってるかもしれないから。暫く様子を見守るべきね。
横山奈緒
……いつも明るいけど、美奈子も自分自身の悩みをあんまり言うタイプやないしな。
横山奈緒
よっしゃ!ちょっとでも元気だしてもらうために、私がお好み焼きのひとつも作ったろか!
水瀬伊織
……やっぱりあんたは、食べることばっかりね。まあ、いい心掛けじゃないかしら。
佐竹美奈子
……奈緒ちゃん、さっきはゴメンね。先に済ませたい事が有ったから。
水瀬伊織
大丈夫なの、美奈子?今日はこのまま帰ってもいいのよ。あたしの家の車で送るわよ。
佐竹美奈子
うん、大丈夫だよ。……もう少し残るね。プロデューサーさんにお願いしたい事、あるから。
横山奈緒
別に落ち着いてからでもええやろ……って美奈子、何持っとるん?手紙、みたいやけど。
佐竹美奈子
そう……今日のあの子に宛てた手紙だよ。
佐竹美奈子
今日のことをきちんと謝って、二度としないなら、許してあげるって書いたんだ。
水瀬伊織
ちょっと美奈子、何考えてるのよ!?あんな奴、永久にイベント出入り禁止するべきでしょ!
佐竹美奈子
私、弟が居るから分かるんだ……あの年頃の子って、女の子の体に興味津々なんだよね。
佐竹美奈子
それは、誰でも同じだから……ちょっと暴走しちゃっても、温かい心で許してあげるべきかなって。
横山奈緒
まあ、当事者の美奈子がそれでいい言うなら、それで構へん気もするけど……
水瀬伊織
甘いわよ!これは美奈子だけの問題じゃなくて、事務所の皆を守るためなのよ。
水瀬伊織
同じような目に遭って、許せない子も立ち直れなくなる子もいるわ。可憐や雪歩みたいにね。
水瀬伊織
……そんな事にも気づかないなんて、あんたやっぱりショックが大きいのよ。今日は休みなさい。
横山奈緒
……そやな。今日は美味しいモンたべて寝てしまうほうがエエ。私が奢るから、帰ろ?
佐竹美奈子
……ううん。やっぱり私、プロデューサーさんが戻るのを待つね。
佐竹美奈子
……つらい思い出を忘れるために、プロデューサーさんに胸をしっかり触ってもらえば……
横山奈緒
美奈子ストップ〜!そんなんエエわけないやろ!?思考回路がショート寸前になっとるわ〜!
(台詞数: 50)