水瀬伊織
事務所に新しく入ったセレブ気取りのアイドル 二階堂千鶴
水瀬伊織
私はどうも彼女が嫌いだった
水瀬伊織
お金持ちに憧れるのは自由 嘘をつくのも自由
水瀬伊織
でも彼女は『それだけ』そう見えた
水瀬伊織
レッスンも人並み以下 片付けも遅くていつも最後に練習場をあとにする
水瀬伊織
しまいには練習に遅れたり休んだり
水瀬伊織
彼女は憧れは持つけど努力はしない そんな存在に見えた
水瀬伊織
幸か不幸か、彼女と活動を共にすることも最初の頃はすくなかった
水瀬伊織
ーーー
水瀬伊織
あるとき仕事で遅く事務所に戻ると千鶴がそこにいた
二階堂千鶴
「み、水瀬さん…?」
水瀬伊織
「あら千鶴、こんな時間になにやってんのよ」
水瀬伊織
話をきくと今まで練習をしていたらしい
水瀬伊織
そういうタイプだとは思ってなかったから正直びっくりした
水瀬伊織
ー少し経ってプロデューサーから千鶴がわざとみんなが帰るまで練習場にいることを聞いた
水瀬伊織
そして、練習に遅れてくるわけも
水瀬伊織
ーーーー
水瀬伊織
ここ、ね
二階堂千鶴
いらっしゃいま……って 水瀬さん!?
水瀬伊織
今日はお客として来たのよ 看板娘の二階堂さん?
水瀬伊織
プロデューサーに教えて貰ったわ あんたがどうして練習に遅れてくるのか
水瀬伊織
ここの仕事があったからなのね…
二階堂千鶴
…………
水瀬伊織
ねえ、どうして隠してたの?
二階堂千鶴
………強いて言うなら
二階堂千鶴
ちょっとしたプライドですわね
水瀬伊織
ーーそのとき私はわかった
水瀬伊織
ああ、彼女は 二階堂千鶴は私と同じなんだって
水瀬伊織
強がってみても本当は臆病で、非凡だからこそ努力をして、そうやって作られた人間なんだって
水瀬伊織
それからは打ち解けるまで時間はかからなかった
水瀬伊織
私は千鶴のないところを補って、千鶴は私に足りないものを分けてくれて
水瀬伊織
そしてレッスンのあとには二人で ハムカツを食べて
水瀬伊織
千鶴はいつも高級だ~ なんていうけど私はこの暖かい味が大好きだった
水瀬伊織
きっと私と千鶴のアイドルという長い道はまだまだこれから続いていくーーー
水瀬伊織
ーーーーなんて、文章に書き起こしてみたはいいけど私らしくないわね…
水瀬伊織
まあいいわ、誕生日くらいこうやって伊織ちゃんの一年を記録するのも悪くないわ♪
二階堂千鶴
もし、伊織?
水瀬伊織
あら千鶴、早いわね
二階堂千鶴
ええ、そして伊織 誕生日おめでとうございますわ!
水瀬伊織
(まさか最初に来てくれるとは思わなかったわ…)
二階堂千鶴
何か言いまして?
水瀬伊織
な、なんでもないわよ!
二階堂千鶴
これ、心を込め…こ、高級なハムカツですのよ!
水瀬伊織
あら、ありがとう♪
水瀬伊織
このハムカツ、最高よね!
(台詞数: 45)