秋月律子
成程、大体分かりました。けどプロデューサーも社長も黙ってるなんて、ひどくありません?
秋月律子
秘密事項ですから知ってる人が少ない方がいいってのは分かりますけどね、私も一応は…
二階堂千鶴
申し訳ありませんわ。律子さんはアイドルに一番近い方ですし、その…
秋月律子
まあいいですよ。けど最近千鶴さんにやたらオファーが多いのはこれが理由だったんですね。
秋月律子
未来の水瀬グループ会長の花嫁候補に名前を覚えてもらいたい企業なんて沢山あるでしょうし。
二階堂千鶴
そういうものですか…バレないようにやってるつもりでしたのに。
秋月律子
ま、こういうのはどうやっても漏れるものですよ。
秋月律子
それで社長、どうするおつもりです?向こうはなんと仰って…
秋月律子
女っけの無い人だっただけに本人の希望は叶えたい、と。会長は大喜びで乗り気満々…
秋月律子
成程。けど、そうなると千鶴さんはアイドルを辞めて…
二階堂千鶴
もうじき彼は今の会社を退いて、本格的にグループの陣頭に立つ為の準備に入るそうなんですの。
二階堂千鶴
とりあえずは海外を中心にあちこち回るそうですわ。
二階堂千鶴
そして、わたくしに付いて来て欲しい、と。
秋月律子
…ふむ。社長は反対しないんですね?事務所的には頭の痛い問題ですけど。
秋月律子
本人の希望は叶えたい、ですか。それはそれは。まあ社長がそう言うのなら…
二階堂千鶴
プロデューサー、あなたはどうお考えですの?
二階堂千鶴
…ええ。仰る通りですわ。どちらを選んだとしても、後悔はするでしょうね。
秋月律子
うーん…まあ、まずは千鶴さんがどうするのかをはっきりと決めてもらって。それから…
水瀬伊織
入るわよ!…うるさいわね、離しなさいよ小鳥!
秋月律子
伊織!?あのね、今会議中。あなたそもそもこの後すぐインタビューが…
水瀬伊織
千鶴の事でしょ!だったら当然私にも口を出す権利があるわ!私の身内の事なんだから!
水瀬伊織
私を抜きに勝手に話を進められちゃ、たまんないわよ!
二階堂千鶴
…あなたには申し訳ないと思ってますわ。お兄様との事、黙ったままで。
水瀬伊織
何よ、もう姉気取り?冗談じゃないわ!私は絶対にあんたを兄さんのお嫁だなんて認めないから!
秋月律子
ちょっと伊織、落ち着きなさい。
水瀬伊織
何よ、あんたなんか!あんたなんか、セレブアイドルなんて言ってるけど本当は…
秋月律子
…伊織!止めなさい、怒るわよ!
水瀬伊織
金持ちを気取ってるだけの貧乏人のクセに!
二階堂千鶴
…
秋月律子
伊織!あんた、なんてことを…!
水瀬伊織
…
水瀬伊織
言い過ぎたわ、ゴメン。
秋月律子
すみませんで済む問題じゃないわ!あんた、自分が何言ったか分かる?
水瀬伊織
頭冷やしてくるわよ、失礼するわ。すぐ仕事だしね。
秋月律子
こら、待ちなさい!千鶴さんに手を付いてきちんと謝るまでは…
二階堂千鶴
律子さん、わたくしなら大丈夫ですわ。
秋月律子
駄目です!今のはいくら何でも許せません!きちんと本人に謝らせます!
二階堂千鶴
落ち着いてくださいな。ありがとうございます、わたくしの事をそこまで気遣っていただいて。
二階堂千鶴
ですが、今一番混乱して、悩んでいるのはわたくしよりも伊織ですわよ?
秋月律子
それはまあ、そうかもですけど。
二階堂千鶴
プロデューサー、伊織のスケジュールを教えていただけますか?一度じっくり話しますわ。
二階堂千鶴
まともに話してくれるかは、分かりませんけど。プロデューサーから話を?
二階堂千鶴
大丈夫です。これはわたくしと伊織の問題です。必ず何とかしてみますわ。
秋月律子
色々大変な事になりましたね。
二階堂千鶴
…申し訳ありませんわ。
秋月律子
いいんですよ。けど、何かあったら今度はすぐ相談してくださいね?
水瀬伊織
(続く)
(台詞数: 47)