エミリー
あの、伊織様。夜遅くにおつきあいいただいて、ありがとうございます。
水瀬伊織
……あくまで「様」付けで通すのね。まあ、それはそれとして。
水瀬伊織
除夜の鐘のリハーサルなんて、初めて聞いたわよ。なんでそんなことをしようと考えたわけ?
エミリー
実は、昨年の暮れにも除夜の鐘を撞きにお寺に参ったのですが……
エミリー
人混みにあてられて疲れたうえ、鐘を撞く姿が周囲から浮いて見えてしまうかもと考えてしまい、
エミリー
結局、遠巻きに眺めるだけで帰ってしまったのです。お話しするのも恥ずかしい限りですが。
水瀬伊織
除夜の鐘なんて伝統行事なんだから、恥ずかしがることじゃないわよ。
エミリー
この一年、心残りでしたので、今年は是非撞きたいのです。
エミリー
煩悩を打ち払い、迎える年を大和撫子となることに邁進する年としたいのです!
水瀬伊織
かなり力が入ってるのね。まあ、いい心がけじゃないかしら。
エミリー
ときに。伊織様のお屋敷には、この伝統行事のためにお寺や鐘撞き堂が備えてあったりは……
水瀬伊織
アンタ、あたしの家をなんだと思ってるのよ!ハリウッド映画のヘンテコ東洋人じゃないんだから。
水瀬伊織
……まあ、お寺に車で乗り付けて、寒い思いをせずに参拝することくらいは有るけどね、にひひっ。
エミリー
……それにしても、大晦日でない日の夜のお寺は、異様な空間ですね。
水瀬伊織
妙なこと言わないでよ……怪談話は聞かせるのは好きだけど、体験はしたくないんだから。
エミリー
!伊織様、向こうに人影が……
水瀬伊織
ちょっとやめてよエミリー。
水瀬伊織
ちょっとやめてよエミリー。……本当に誰かいるじゃない。まさか丑の刻参り、とかじゃ……
エミリー
伊織様……私、そんな日本の伝統は見たくないです。……何か不気味な声が聞こえてきます……
七尾百合子
……
七尾百合子
……前世の記憶を蘇らせたい……
七尾百合子
……前世の記憶を蘇らせたい……オーパーツを手にしたい……
七尾百合子
……前世の記憶を蘇らせたい……オーパーツを手にしたい……ガンダーラに行きたい……
水瀬伊織
ちょっと百合子!なんでこんな場所にいるのよ。びっくりしたわよ。
七尾百合子
あ、伊織ちゃんとエミリーちゃん。お二人こそなんで夜のお寺に?
水瀬伊織
エミリーが、去年撞けなかった除夜の鐘のリベンジをするための下見よ。アンタのほうは?
七尾百合子
奇遇ですね!実は私も、除夜の鐘の予行演習をしてたんです。
七尾百合子
恥ずかしながら、私、煩悩をたくさん抱えている気がするのですが……
七尾百合子
当日、一人で何度も撞くことは出来ないでしょうから。ひと撞きで全ての煩悩を払いたくて。
水瀬伊織
へー、アンタも来年は、妙な空想を捨てて現実見ていこうって考えなのね?
七尾百合子
……
七尾百合子
違います!邪魔な思いを断ち切り、純粋な心となって、風の戦士となるべく一意専心するためです。
水瀬伊織
……もういいわよ。勝手にしたら?
エミリー
……百合子さんのような一途さこそ、大和撫子となるための鍵かもしれませんね。
水瀬伊織
エミリー、感心する場面じゃないわよ!
(台詞数: 35)