夏の終わりのエトピリカ
BGM
Shooting Stars
脚本家
mayoi
投稿日時
2014-08-28 23:51:05

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水瀬伊織
……終わったかしらね。
水瀬伊織
まあまあ綺麗だったんじゃない? 伊織ちゃんのライブにはほど遠いけど。
水瀬伊織
さ、帰るわよ。
ジュリア
待ちな。
ジュリア
……花火、まだ上がるかもしれないだろ。
水瀬伊織
なに言ってるのよ、時計を見れば分かるじゃない。
ジュリア
あたしな、いつも期待しちまうんだよ。
ジュリア
ひときわ派手に打ち上がって、その余韻が広がって。
ジュリア
でも、これで終わりじゃないだろって。
ジュリア
この静寂は、ここから始まるフィナーレへの準備期間。そうだろ?
水瀬伊織
ふん、往生際が悪いのね。せっかくのお祭り気分が台無しよ。
ジュリア
なあ、本当にこれで終わりなのか?
水瀬伊織
……何の話かしら。
ジュリア
あたしは花火の話をしてるだけさ。
水瀬伊織
じゃあちょっとだけ、その花火の話に付き合ってあげる。
水瀬伊織
散りゆく花火の仕事は夢を授けることよ。
水瀬伊織
夢見る少女は、そいつの配役じゃない。
ジュリア
意外と現実主義なんだな。
水瀬伊織
現実を知らなければ、どんな夢を売ればいいのか分からないもの。
ジュリア
別になんだっていいじゃないか。
ジュリア
夢の中でならなんだって出来る。
ジュリア
空を飛ぶことも、そうだ、やり直したい過去へ戻ることだって。
ジュリア
夢は思い出を書き換える、たったひとつの魔法なんだ。
水瀬伊織
あんたこそ、とんだ浪漫主義のようね。
ジュリア
夢を見なきゃ、現実の行き先も分からねぇよ。
水瀬伊織
………………。
ジュリア
たーまやー!
水瀬伊織
ちょっと、やめなさいよ。
ジュリア
いいや、止めないね。
ジュリア
あのバカ花火に教えてやるんだ。あんたを呼んでる声があるって。
ジュリア
花火が一度しか咲いちゃならないなんて誰が決めたんだ。勝手に諦めやがって。
水瀬伊織
二度も咲けるわけ、ないじゃない……。
ジュリア
たーまやー!
水瀬伊織
……うるさいわね。
ジュリア
たーまやー!
水瀬伊織
………………。
水瀬伊織
かーぎやー!
ジュリア
……へへっ。
水瀬伊織
なによ、気持ち悪い。なんとなく叫びたくなっただけじゃない。
水瀬伊織
さ、今度こそ帰りましょ。
ジュリア
待てよ、まだ花火が……。
水瀬伊織
そんなもの、また来年咲くわよ。
水瀬伊織
ほら、手を出して。
水瀬伊織
にひひっ、伊織ちゃんが連れていってあげる。
水瀬伊織
あんたの知らない世界を見せてあげるから、黙ってついてきなさい。
水瀬伊織
私の背中は、あんたに任せるわ。だから――
水瀬伊織
だから絶対に、この手を離さないでよ?
ジュリア
……ああ。
ジュリア
帰ろう、あたしたちのステージに。

(台詞数: 49)