天海春香
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天海春香
少しだけ、過去を振り返ってみる。
天海春香
あの子達……ミリオンスターズのみんなが765プロに来てどれくらい経ったのだろう。
天海春香
最初の頃、新たに37人の後輩が入ってくると聞いた時は驚きと不安でいっぱいだった。
天海春香
私はしっかり先輩としてあの子達を導くことが出来るのだろうか。
天海春香
そして、あの子達を立派なアイドルにすることが出来るのだろうか、と。
天海春香
でもあの子達はそんな私の心配もどこ吹く風、様々な困難を互いに助け合って乗り越えてきた。
天海春香
アドバイスなどで私達からも助力はしたけれど、大半はあの子達の意志の力だった。
天海春香
その後も小さなお仕事やミニイベントを重ね、ミリオンスターズは徐々に知名度を上げていった。
天海春香
そして迎える最初の大きな節目、プラチナスターライブ。
天海春香
決められたメンバーで結成するも、どのユニットも最初の頃はまとまりがつかなくて大変だった。
天海春香
更には意見の食い違いやメンバーのアクシデントなど、様々なトラブルにも直面してきた。
天海春香
それでも最後にはユニットのメンバーが一丸となり、結果全てのライブが大成功で幕を閉じた。
天海春香
次に迎えるのは、日本中を巡り多くの人々にアピールや宣伝活動をする全国キャラバン。
天海春香
都会とは違う、地方ならではの体験が出来たりと、お仕事以外の面でも色々なことを学んだ。
天海春香
行く先でトラブルも絶えなかったけど、それ以上に得るものがあったのでこれも大成功に終わった。
天海春香
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天海春香
そして迎えた、ミリオンスターズ37人揃っての武道館公演。
天海春香
あの大舞台であの子達がプレッシャーに負けず、パフォーマンスを発揮出来るかが気掛かりだった。
天海春香
しかしそんな開演前の心配は、あの子達の煌びやかなパフォーマンスを見た瞬間吹き飛んでいた。
天海春香
それどころか、あの大舞台で歌って踊るあの子達を見て、思わず夢中になっていた。
天海春香
そして無事に武道館公演が終わった後、私は公演を振り返って密かに思った。
天海春香
もうあの子達には、私達のリードなんていらないんじゃないかと。
天海春香
ミリオンスターズは、私達がいなくても自分達の力で歩みを進めていけるのではないかと。
天海春香
武道館公演が終わり撤収準備を終えた後、私は駆け寄ってきた未来ちゃんにこう言った。
天海春香
もう私達がいなくても大丈夫だよね、と。
天海春香
私はてっきり、『はい! もう私達だけでも大丈夫です!』という答えが返ってくると思っていた。
天海春香
しかし私の予想は見事に裏切られた。
天海春香
未来ちゃんは一瞬ショックを受けたような驚いた表情になった後、目から大粒の涙を流しながら、
天海春香
『そんなこと言わないでください……!私は、私達は……春香さん達が、支えでぐれだがら……!』
天海春香
……私はその未来ちゃんの泣き顔を見て、涙声を聞いて驚きを隠せなかった。
天海春香
心の底からこんなにも大泣きする未来ちゃんなんて、今まで見たことがなかったから。
天海春香
でも私は、私のために本気で泣いてくれる子がいることがとっても嬉しかった。
天海春香
……そして同時に、忘れかけていた大切なことを思い出した。
天海春香
この子達は後輩というだけではなく、苦楽を共にしてきた仲間でもあるということを。
天海春香
私は泣き止まない未来ちゃんを抱きしめ、“ごめんね”と慰めてあげた後に囁くような声で、
天海春香
『じゃあこれからも私に……私達についてきてくれる?』
天海春香
返事は無かったけど、未来ちゃんは私の胸の中でうなずいてくれた。
天海春香
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天海春香
そして今、私達はあの子達–––––ミリオンスターズのみんなと同じステージに立っている。
天海春香
新たに加わった2人と合わせて総勢52人。みんな合わせて“765ミリオンALLSTARS”。
天海春香
……でもやっぱり、先陣を切って引っ張る存在は必要だよね。今までも、そしてこれからも。
天海春香
だからみんな、私に……、
天海春香
だからみんな、私に……ううん、私達についてきて!
天海春香
先輩後輩としてではなく、同じ道を共に進む仲間として–––––––!
(台詞数: 45)