如月千早
あら?
双海真美
どったの千早お姉ちゃん。アブラハムの宗教の唯一神ヤハウェに対するアラビア語呼称のひとつ?
如月千早
الله الشريط لدينا
双海真美
いやそんな本格的にボケられても分からないけども。
如月千早
実は、机の上に置いてあった春香クッキーが忽然と消え失せ失せ失せてるのよ。
双海真美
え、じゃあ真美も探したげるよん!どんなやつ?
如月千早
えーと、ピンクの包み紙に入った基本的に乳白色のクッキーで……
双海真美
チョコチップ入っててかんだ瞬間に大地の芳醇な香りに包まれるやつ?
如月千早
あ、そうそう。察しが良いのね。残り食べようと楽しみにしてたのだけど。
双海真美
あー、なるほど。そういうパターンね……
天海春香
ただいま……て、あれ?
双海真美
どったのはるるん。芳香族炭化水素?
天海春香
違います。
双海真美
まあそうだろうけども。
天海春香
駅後ろのケーキ屋さんで買ってきたチーズケーキが見つからなくて……
双海真美
……あのレモン感強いやつ?
天海春香
そうそうそれ!……
天海春香
って、あれ?何で知ってるの?
双海真美
え、ほらあれあれ!真美ってエスパー感あるっしょ?それ。
如月千早
あ、よく見ると口の端にチョコレートが!
双海真美
そういう体質で……
天海春香
あ、目頭にチーズが!
双海真美
うあうあー!ワイルドに食べ過ぎた!
如月千早
頭の両翼にリボンが!
天海春香
もしかして真美?あの量を一人でつまみ食いしたの?
双海真美
……ちょっと待って考え中。
如月千早
あれはおやつの範疇を超えた量よ?
双海真美
……あ、整った。
双海真美
……うう、頭が……!
天海春香
この期に及んで何か仕掛けてきた!
双海真美
……お姉ちゃん達……私のこと……知ってるの?
如月千早
さっきまで私たちのこと呼びまくってたじゃない。
双海真美
……うう、思い出せないよ……お姉ちゃん誰?
天海春香
ちょっと、絶対普通に謝った方が遥かに簡単だよ春香だけに。
双海真美
お姉ちゃんが一番誰?ちょっと思い出せないどころかこうしてる今も目を話せば忘れそう。
天海春香
ごめんなさい!って私が謝ってどうするの!
双海真美
なんだろう……何か、大切な何かを忘れてる気がする……
双海真美
あれ、何で?知らないはずなのに……何でこんなに私……泣いてるの?
天海春香
演技派だ!
如月千早
……真美、そんな手は通用しないわよ。
双海真美
……そんな!
如月千早
記憶が消えたなんて、通じない。そんなことで、あなたのやった事はなくらないわ……
双海真美
……!
如月千早
私たちが過ごした日々は、私が確かに覚えてるわ。
双海真美
……!お姉ちゃん……
如月千早
消えてしまったなら、もう一度作れば良い。崩れてしまったなら、もう一度積み重ねれば良い。
如月千早
私達の前にはそんなの、困難ですらないわ。
如月千早
あ、あと。私の事は「千早お姉ちゃん」って呼んで。それがあなたよ。
双海真美
……それが、私。
双海真美
いや……真美……!
(台詞数: 50)