周防桃子
…だけど、桃子の思った通りにことが進むほど、世の中は甘くなくて。
周防桃子
桃子が引いたくじで決まった順番は、七番目。
周防桃子
ここまで後の方になっちゃうと、選びたくてもほとんど選びようがないよ…。
周防桃子
貴音さんは六番目だから、それまで一回戦の場所がまるまる空いていたなら、決まりなんだけど。
周防桃子
最初にコマを置いたのは、くじで一番を引いた、琴葉さんだった。
周防桃子
一番というのも全然良い順番じゃないんだよね。結果は全部後の人しだいだもの。
周防桃子
少し考えて、琴葉さんは5番のマスに自分のコマを置いた。
周防桃子
その次に、美希さんが8番にコマを置く。
周防桃子
ほとんどノータイム。きっと、だれと当たってもいいっていう自信があるんだろうね。
周防桃子
でも、その美希さんの行動が、桃子たちにとっては、よくなかった。
周防桃子
次のジュリアさんが、1番にコマを置いてしまう。
周防桃子
やっぱり!優勝候補の美希さんとは、当たるなら後の方がいいって、みんな思うはずだから…。
周防桃子
…これで、貴音さんと一回戦で戦える可能性があるとなり合ったマスは、3番と4番だけに。
周防桃子
しかも、貴音さんの前には、まだ響さん、静香さんが順番を待っている。
周防桃子
でも、ここで予想外のことが起こった。
周防桃子
響さんがコマを置いたのは…7番!?
周防桃子
まさか…自分から美希さんのところに飛び込んでいくなんて!
周防桃子
たしかに響さんなら、美希さんと正面からぶつかって、勝つことができるかもしれない。
周防桃子
でも、だからって、最初からいちばん手ごわい相手に向かっていく?
周防桃子
どうせ決勝戦で当たるんだから、一回戦で『事実上の決勝戦』をやっても同じってこと…?
周防桃子
響さんが何を考えてそんなことをしたのか、桃子には全然わからない…。
周防桃子
…でも、そのおかげでまだ3番と4番が空いてるから、感謝しなくちゃね。
周防桃子
と、思ったところに。響さんの次の番だった静香さんが、4番にコマを置いた。
周防桃子
…はあ。やっぱり、うまくいかないね。まあ、別にいいけど。
周防桃子
こんなルールになるって知るまでは、自力で貴音さんのところまで行くつもりだったし。
周防桃子
これで、貴音さんと当たるのは、一番早くても準決勝ということだね。
周防桃子
気を取り直して対戦表を見ようとしたとき。桃子は、自分に向けられる視線を感じていた。
周防桃子
それも、一人じゃなくて、数人の…。
周防桃子
えっ…?なんで、貴音さんじゃなくて、桃子がみんなから見られてるの…?
周防桃子
少し考えて、桃子はその答えに行きついた。
周防桃子
そうか…!美希さんだけじゃない。桃子がどこに置くかも、勝負のカギになるんだ…!
周防桃子
今回の『究極のトーナメント』は、これまでとちがって、一日で決勝戦まで終わってしまう。
周防桃子
つまり、最大で三回まで試合があるから、勝ち上がるのに、できるだけ力は温存した方がいい。
周防桃子
そして、そのためには、一番実力が低い桃子と当たるのがベストっていうことなんだね…。
周防桃子
くやしいけど、今はまだ、それがまちがいだって証明することもできない。
周防桃子
このばらけた置き方も、もしかしたら、桃子を貴音さんに取られないための…。
周防桃子
ふだんの和気あいあいとした雰囲気からかけはなれたシビアな空気に、背筋がぞっとする。
周防桃子
でも、桃子に向けられるその視線は、すぐにとぎれることになった。
周防桃子
桃子をかばうように、貴音さんが自分のコマを手にして、前に進み出たから。
四条貴音
「…桃子。わたくしが、難しい方を引き受けましょう。」
周防桃子
そう言って、貴音さんは…3番に、コマを置いた。
周防桃子
貴音さんの言動に、二人の表情が変わる。
周防桃子
対戦相手の静香さんは、緊張と闘志に、顔を引きしめて。
周防桃子
ジュリアさんは、かんたんな方だって言われたことになるから、ちょっとムッとして。
周防桃子
そして、桃子も。その一言のおかげで、スタート地点が決まった。
周防桃子
貴音さんが引き受けるって言ってくれたんだから、桃子はそれを信じて、ここに置けばいい…!
周防桃子
コマを置いたのは、2番。対戦相手は…ジュリアさん!
周防桃子
…うん。相手にとって、不足はナシってやつだね。
周防桃子
最後の麗花さんは、考えるまでもなくて、琴葉さんが対戦相手となる。
周防桃子
こうして、一回戦の対戦カードが決まった。
(台詞数: 50)