四条貴音
会場を埋め尽くす人々と、その息遣いに揺れるさいりうむ。それは、天に瞬く無数の星々にも似て。
四条貴音
星明りに照らされた道を、わたくしは少しずつ、確かめるように歩みを進めます。
四条貴音
目指すは、天球の中心。
四条貴音
そこには、既にして七つの星が立ち並び、わたくしの到着を待っていました。
四条貴音
七つの星。七人の『すたあ』。
四条貴音
激戦に次ぐ激戦に磨かれ、今や煌々と輝きを放つ、ステージの上の一等星。
四条貴音
そして、わたくしもその一人として、ここに。
四条貴音
かくして、八人の精鋭が揃い、かつてなき戦いの幕が開こうとしています。
四条貴音
見回せば、それぞれの想いを宿した顔。そこから並々ならぬ気迫を感じ取ることができました。
四条貴音
田中琴葉。
四条貴音
純粋さを示す真紅の炎の如き、気高い情念の人。
四条貴音
最上静香。
四条貴音
まるで流星のように力強く輝いて。素直に一途に夢を追う、求道者。
四条貴音
ジュリア。
四条貴音
歌に果て無き情熱を燃やす、卓越した歌い手。
四条貴音
北上麗花。
四条貴音
捉われず、拘らず。故に、無限の可能性に満ちた自由人。
四条貴音
その四人の次に目を移したのは、わたくしとは特に因縁深い、二人のアイドルでした。
四条貴音
…美希。わたくしの、親しき友。
四条貴音
天性のアイドルにして、華々しい光を放つ、ステージの極星。
四条貴音
今回もまた、己が望むままに、人々を魅了していくのでしょうね。
四条貴音
…響。彼女も、わたくしの親友。
四条貴音
先の戦いではわたくしが勝ちを拾いましたが…あれこそ、死闘と呼ぶに相応しいものでした。
四条貴音
雪辱を期して挑む彼女は、おそらくはこの中で、最も手強い相手と言えるでしょう。
四条貴音
ですが、わたくしの目は、その二人にも留まらず、通り過ぎて…。
四条貴音
…視線を留めたのは、最後の一人。
四条貴音
その身体は誰よりも小さく、この広大なステージにはとても頼りなく見えて。
四条貴音
しかし、その意気だけは揺るぐことなく、毅然と地を踏みしめていました。
四条貴音
周防桃子。
四条貴音
わたくしの盟友にして、らいばる。
四条貴音
そして、わたくしが傷つけてしまった…いいえ、傷つけたのに。
四条貴音
わたくしを許し、受け容れ、救ってくれた。誰よりも強く、優しい子。
四条貴音
…あれから、ずっと考えていました。
四条貴音
指の先に届いた栄光を投げうって、あなたがわたくしに示してくれた、大いなる愛。
四条貴音
それに、わたくしは何を以て応えれば良いのかと…。
四条貴音
…今、答えはこの胸の中にあります。
四条貴音
ですが、アイドルとして立つ者であれば、それを伝えるのはやはりステージの上で、でしょう。
四条貴音
あなたの進む道の先で、わたくしは待っています。必ず、何があろうとも。
四条貴音
わたくしたちの道の交わる所、二人が並び立ったその時、その場所で…
四条貴音
…ここに居る全ての人々が、あなたとわたくしの『終わり』を知るでしょう。
四条貴音
さあ、桃子。ここまで、登ってきてください。
四条貴音
あなたの内にある、才能、努力、経験、技術、策略、情熱、天運。すべての武器を抜いて。
四条貴音
いつも通り、立ち塞がる敵を蹴散らして。
四条貴音
ああ、桃子…。道は険しけれども、信じています。
四条貴音
どうか…どうか、ここまで。
四条貴音
…待っています。わたくしは、あなたを待っていますよ。
(台詞数: 46)