大神環
出場者の誰かが行方不明になって、大会運営側はその被害者を見つけ出すことを課題とした。
大神環
そんな突拍子もないことを、本当に言っているのかい。
四条貴音
飲み込みが早くて助かります。何か質問はありますか?
大神環
いや、本気で言ってるの?
四条貴音
あら、何かご不満でしょうか。
大神環
不自然すぎる。運営は何故事件を隠して謎にしてしまうんだい?
大神環
そもそもまだいなくなって数時間くらいなのに、行方不明と決めつけるのもおかしいよ。
四条貴音
そうですね。不自然です。
大神環
……一番の不自然はお姉さんだよ。各校のリーダー達を集めてこんな事を言っているんだろう?
大神環
一体なんのつもりなんだい? というか、何をどこまで分かっているんだい?
四条貴音
あなたと、同じような推理をしているからですよ。
大神環
……ボクと同じ?
四条貴音
先程、「事件」と仰ったでしょう。行方不明なら事故や単なる迷子の方が自然なのに。
大神環
……失言だったかな。そうだね、確かにボクもこれには、犯人が存在する「事件」だと思っている。
大神環
まだ何も捜査してないから分からないことだらけだけど一つ確かなのは……
大神環
謎の動きをした運営は、信用できない。だからこそ出場者間で連携する必要がある、かな?
四条貴音
全くその通り。流石名探偵、私の考えることなどお見通しなのですね。
大神環
でも迂闊じゃないのかい? 運営が怪しいからって出場者を信用出来るのて?
大神環
例えば事件が起こった年に偶々初出場しているボクなんて、寧ろ最も怪しい部類だと思うけど?
四条貴音
あなたが私を騙せる程の御仁なら、寧ろ一番近くに置いておいた方が良いですから。
大神環
……そういうものかな?
ジュリア
やはり似てる……でもチハがあんなこと言うわけ……
四条貴音
ごきげんよう。呼び立ててしまってすみません。
ジュリア
ああ、翼から連絡があってな。まあだいたい察しはつくが。……そっちは?
大神環
……。
四条貴音
にゅぅふぇいす、ですよ。私達より幼いですがこう見えて……
ジュリア
いや、あんたの見立てなら信じる。あたしは見かけで人間を判断しない。
ジュリア
それにあんたの性質も腕も、疑う労力が無駄だ。
大神環
懸命だね。
ジュリア
場内はうちの奴らに調べさせてる。こういうのは得意じゃないが……
四条貴音
仕事が早くて助かります。それで、何か分かったような顔をされてますね。
ジュリア
どこまでお見通しなんだよ。確かに、場内の廊下で幾つか妙な痕跡が見つかった。
ジュリア
明らかに指紋や足跡、その他諸々を掃除した後がな。これがまた妙なんだが。
大神環
はっきりしないね。そんなあからさまな痕跡、確実に関係してるじゃないか。
ジュリア
二種類あるんだよ。外へ続いてるのと、場内奥深くまで続いてるの。
四条貴音
はて、外に連れ出しているなら外は分かりますが、奥深くというのは解せませんね。
大神環
それらがなんで二種類だと思うの? 同じ人物が中に入って出たのかもしれないよ。
ジュリア
スキルが違いすぎる。中にいるのは手強そうだ。かなり慣れてる。
ジュリア
対して外に出たのは殆ど素人に近い。簡単に見つけられた。これらは明らかに別人、別グループだ。
四条貴音
……思ったより、複雑な事件であるようですね。
ジュリア
あともう一つ……
大神環
……? もう一つ、なに?
ジュリア
いや、まだ確信が持てない。もう少し調べてから報告する。
大神環
随分悠長だね。この事件は一瞬でも惜しいと思うけど。
四条貴音
いえ、確かに私達は急がなければなりませんが、この件に関しての彼女らの役目は終わりですよ。
大神環
よく分からないけど、お姉さんの言うことだからとりあえず納得しておくよ。それにしても。
大神環
さっきから珍しく何も食べてないけど、調子でも悪いのかい? 競技中以外はずっと食べてたのに。
四条貴音
ああ、今はその時ではないからですよ。私、食事中は他の事を考えないようにしてるので。
四条貴音
これが解決したら、またたくさん美味しいものを頂きますが、今はその時ではありません。
四条貴音
人の命がかかっていますから。
(台詞数: 50)