ReRise第20話『紛れもなく美少女』
BGM
プリティ~~~ッ→ニャンニャンッ!
脚本家
遠江守(えんしゅう)P
投稿日時
2017-04-15 23:19:59

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最上静香
今日は、野々原さんとエレナさんの試合の日。
最上静香
私が観客席に行くと、やはりそこには見慣れた顔があった。
四条貴音
「さあ、どうぞ。こちらが空いていますよ。」
最上静香
…貴音さんとどうしてこうも鉢合わせするのか、考えるのはやめておこう。
最上静香
私の目線では気付かないことを教えてくれるから、助かっている部分もあるし…。
最上静香
通常公演をしばらく見ていると、やがて野々原さんの出番がやってきた。
最上静香
エレナさんは、後攻を選んだのね。そんな人でもないのに、少し…勘ぐってしまいそう。
四条貴音
「ふむ…。茜の調子は、良いようですね。静香の名勝負を見て、発奮しているのでしょうか。」
四条貴音
「なれば小細工は不要。そして、茜も生半可なことでは揺るぐことはありませんよ。」
最上静香
貴音さんの言葉に、私は頷いた。
最上静香
茜さんはマイペースだけど、それだけに他人に惑わされない強さがある。
野々原茜
「ジャジャーン! 茜ちゃん登場!!」
野々原茜
「今日の歌はどっち?どっち?ねえねえねえねえ、どっちが聞きたい?」
野々原茜
「そっち?しょ~がないねぇ。チョー可愛い茜ちゃんを見て、目を潰すなよ~?」
野々原茜
「『プリティ~~~ッ→ニャンニャンッ!』!!」
最上静香
来た!野々原さんのソロ曲!
野々原茜
『そうニャんニャ実際!発見しちゃったのかもネコかぶっちゃうよりもネコぶるほうがいいんだ~』
最上静香
軽快なメロディに乗ったコミカルなダンスが、会場の空気を一気に盛り上げる。
最上静香
野々原さんの強みを言うなら…それは、並外れた運動量!
最上静香
左右の移動だけではなく、上下の運動も激しいダンスを、途切れなくやってみせる。
最上静香
そして、もちろん歌いながらなのだから…凄い。
最上静香
『クレシェンドブルー』のメンバーで練習したときを思い出す。
最上静香
星梨花や志保、私が汗だくになっていても、野々原さんは麗花さんと二人で涼しい顔をしていた。
最上静香
私や志保より10cmも小さいのに、どこにあれだけの体力があるのか…。
野々原茜
『ねぇねぇ聞いてる? ねぇねぇねぇねぇねぇってばっ!』
最上静香
…そんなのは、解りきっていることね。
最上静香
野々原さんは、普段の態度で少しふざけることはあっても、練習は手を抜いたことがない。
最上静香
小さな体なりに、それを全力で振り回す体力を鍛えに鍛えてきたはず。
最上静香
体軸が安定したダンスは、会場をも同調させるリズム感を生み出し。
最上静香
土台が揺れてもぶれない声は、伸びやかに会場に響く。
最上静香
そして、きっと私なら、息が上がってしまうような激しい動きの中で…。
最上静香
…その顔は、ずっと人懐っこさを感じさせる、笑顔のままだった。
野々原茜
『そんなに凹んでいるんなら、凸撃しちゃうよ! 落ち込むヒマあげないんだ!』
最上静香
野々原さんを見ていて思う。
最上静香
いつも言ってる自称美少女は、本気なのか照れ隠しなのか、測りかねるところがあるけど…。
最上静香
こうして見る姿は、紛れもなく美少女ですよ、って。
最上静香
…その後が大変そうだから、本人には絶対に言わないけど。
野々原茜
『ねぇねぇねぇCALL MY NAME! NEAR×3 YOU, ALWAYS!!』
最上静香
…歌が終わった。
最上静香
会場からは、拍手と歓声。そして、誰もが笑顔を浮かべているように見えた。
四条貴音
「見事…。まこと、心楽しませるステージでした。」
最上静香
「はい…!」
最上静香
貴音さんの賞賛が、まるで自分のことのように嬉しかった。
最上静香
まだエレナさんのステージが残っていて、結果はどうなるかもわからない。
最上静香
それでも、今だけは。
最上静香
私は席から立ちあがって、力いっぱいの拍手を野々原さんに贈っていた。

(台詞数: 46)