ReRise第18話『ギャンブラー』
BGM
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脚本家
遠江守(えんしゅう)P
投稿日時
2017-04-13 23:23:29

脚本家コメント
一挙二話掲載。

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最上静香
「掌の上って…。瑞希さんが、何かをしたってことですか?」
最上静香
私の問いかけに、貴音さんは重々しく頷いた。
四条貴音
「わたくしの見立てですが。奈緒は、瑞希に操られましたね。」
最上静香
操った…?では、これはすべて瑞希さんがやったことだっていうの…?
最上静香
「…私は、二人で相談して決めたことだと思っていました。」
四条貴音
「傍目にはそう見えますが、談合してそろ曲を温存するという方法には、危険があるのですよ。」
最上静香
「危険、ですか…?」
四条貴音
「…それは、相手が直前で裏切る可能性。」
最上静香
そこまでするものかと思って、すぐに考え直した。
最上静香
事前に示し合わせるなんて、下手をすれば八百長まがい。堂々と口にできる事ではない。
最上静香
それだけでも辛いのに、さらに裏切られた方は泣き寝入りをするしかなくなる。
最上静香
765プロにそれをやる人がいるかは別として、たしかにそういう不安はつきまとうわね…。
最上静香
「でも、それならどうして奈緒さんは…。」
四条貴音
「瑞希は自分がそろ曲を温存すると、奈緒に伝えたのでしょう。そして、同意は求めなかった。」
最上静香
同意が無い?だったら、ますます奈緒さんがソロ曲歌わない理由が…。
四条貴音
「…それが、奈緒を惑わせました。」
最上静香
貴音さんが、悲しげに目を伏せる。
四条貴音
「勿論、普段の奈緒でしたら、惑わされることはなかったでしょう。」
四条貴音
「しかし、今の奈緒の目には、琴葉の影がちらついておりました。」
四条貴音
「…誰であれ、翼のように無惨に負けるなど、望まないものです。」
四条貴音
「その時の為に、切り札としてそろ曲を手の内に残す…なんと抗いがたき誘惑でしょうか。」
最上静香
…たしかに。私だって同じ立場になって、その誘惑に絶対負けないと言えば…ウソになる。
四条貴音
「さらに不幸なことに、奈緒の手には、安全装置があったのです。」
四条貴音
「先攻に指定する権利で、相手の出方を見ることができるという…。」
最上静香
…私にも、だんだんとその罠が見えてきた。
四条貴音
「相手が一方的に申し出たことであれば、道義的にも責めを負うわけでもなく。」
四条貴音
「そして、相手の出方を見て動けるのであれば、それが騙しであっても即座に対応できる。」
最上静香
「奈緒さんは、自分が主導権を握っていると思って、安心していた…。」
四条貴音
「…はい。自分はいつでも勝利の手札を切れるので、様子を見ようという思惑。」
四条貴音
「3位の自分は6位の瑞希に地力でも勝っているという思いも、奈緒の背中を押したでしょう。」
四条貴音
「その実、そろ曲と『待ち受けプリンス』の両方の備えで、力を分散させていると知らずに…。」
四条貴音
「対する瑞希は、ただ一心に備えるだけで良かったのです。」
四条貴音
「結果として瑞希は万全の状態で、奈緒は中途半端のまま試合に臨むことになりました。」
四条貴音
「その結果はかくのごとき、ですね。」
最上静香
それが事実だとしたら…瑞希さんは、とんでもない策士ね。
最上静香
「貴音さんは、どうしてそれに?」
四条貴音
「『待ち受けプリンス』での調子の悪さ、普段なら先に出る性質なのに、後攻を選んだこと。」
四条貴音
「そして、何よりあの顔です。」
最上静香
貴音さんが指示したのは、ステージの上。
横山奈緒
「…。」
最上静香
信じられないといった顔をした、奈緒さんの姿。
最上静香
選択肢を与えられたことで、逆に縛られてしまったことに、今は気付いているのかしら?
四条貴音
「琴葉に瑞希。難敵に曲者が加わりましたか。」
最上静香
…考えるだけで、頭が痛くなるわね。
最上静香
琴葉さんには全力で立ち向かうしかないと心に決めているけど、瑞希さんには、どうすれば…。
四条貴音
「しかし、策もそうですが、恐るべきはその決断というべきでしょう。」
四条貴音
「奈緒がもう少し冷静であれば、むざむざ勝利を献上するようなものでした。」
四条貴音
「様々な策を施したとはいえ、結局は瑞希も一世一代の賭けを打ったのです。」
最上静香
貴音さんは、どこか感心したように、笑みさえ浮かべていた。
四条貴音
「…まったく、大したぎゃんぶらあですよ。」

(台詞数: 50)