葛桜
BGM
恋花
脚本家
親衛隊
投稿日時
2017-04-13 20:15:10

脚本家コメント
桜もそろそろ終わりそうですね。

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四条貴音
ごきげんよう。本日は春の陽気が心地良いですね。
四条貴音
ほら、上をご覧になってください。数多の桜花が隧道を成そうとしています。
四条貴音
……真、壮観なこと。
四条貴音
これに茶や菓子が揃えば、まさに鬼に金棒ですね。
四条貴音
ふふ、流石に贅が過ぎますか?
四条貴音
斯くも美しき風景に、すぐ私の横を歩くあなた様。これ以上何を望むというのでしょう。
四条貴音
……はい? 無理などしておりませんよ? どうしてそのようなことを訊くのです?
四条貴音
……もしや。
四条貴音
あなた様の目には、所詮「食のことしか考えない女」として私は映っているのでしょうか?
四条貴音
春は爛漫。ひらひらと舞い散る花びらの下、二人並んで歩く仲睦まじい男女の姿。
四条貴音
斯様に甘美な雰囲気に包まれていても尚、私が食のことを考えていると申すのですか?
四条貴音
……。
四条貴音
正解です。
四条貴音
先刻立ち寄った茶屋にて食した葛桜のことを思い出していました。
四条貴音
流石ですね。複雑な女心をいとも簡単に看破されるとは。
四条貴音
しかし、幾ら日頃から「食は文化の中心」と謳う私でも、たまには食以外のことも考えます。
四条貴音
たとえば、あなた様。
四条貴音
私の心は、いつ何時も、あなた様の姿を認めております。
四条貴音
食も、あなた様も、天秤には掛けられないほどに大切な存在なのです。
四条貴音
……何が言いたいか、ですか?
四条貴音
その、つまりですね……
四条貴音
私の中で食とあなた様は互いに大切同士。
四条貴音
あの葛桜を、今度はあなた様と食せたのなら……
四条貴音
この上なき幸せになる……やもしれません、と……
四条貴音
言いたかったのですが……。
四条貴音
……。
四条貴音
らしくありませんね。巷では四条貴音を『銀色の王女』と呼ぶ方もいるというのに。
四条貴音
王女であるならば、何事も毅然とした態度で臨まなければならぬもの。
四条貴音
ゆえに、先ほどのような怯弱な発言などあってはならないのです!
四条貴音
前言撤回をします。
四条貴音
あなた様、私は……
四条貴音
今一度、あの葛桜を食したいのです……!
四条貴音
絶妙な柔らかさ、口にした瞬間に香る桜の香り、上品な餡の甘さ、全てが忘れられないのです……!
四条貴音
あと、お慕いしております。
四条貴音
……。
四条貴音
さて、参りましょうか。茶屋はあちらです。
四条貴音
……? どうされましたか?
四条貴音
最後の方がうまく聞き取れなかった……?
四条貴音
……そう、ですか。
四条貴音
……ならば、あちらに着いたらお聞かせしましょう。
四条貴音
その代わり、今度は膨大な時間を頂戴いたします。
四条貴音
あのような恥ずかしい言霊を紡ぐと“非常に”お腹が空きますので。
四条貴音
心配は要りません。これほどの桜を眺めていれば、時間などあっという間に過ぎるもの。
四条貴音
それまでに覚悟を決めておいてくださいね?

(台詞数: 44)