四条貴音
「あなた様…」
四条貴音
番組の打ち合わせが終わったあと、先方と話があるからと貴音を先に出しておいたのだが…
四条貴音
現在彼女は正面玄関の前でオロオロとしている
四条貴音
俺はというと、裏口からこっそり出て、そんな貴音を眺めているところである
四条貴音
我ながら悪趣味だと思うのだが、彼女のあのような可愛い様子を見るためだ。許してほしい
四条貴音
(ほう、何を許してほしいのですか?)
四条貴音
(こいつ、直接脳内に!?)
四条貴音
「全く、何をしているのですかあなたは」
四条貴音
いつの間にか彼女が後ろに立っていた。目を離した覚えは無かったのだが…
四条貴音
しかし、俺は一流のプロデューサー。このような場面は何度も経験してきた
四条貴音
この場を切り抜けるためにはこれしかない!
四条貴音
「貴音、今日も可愛いな」
四条貴音
足を踏まれました
四条貴音
「あなた様、少々おふざけが過ぎるのではないでしょうか?」
四条貴音
これは何を言っても無駄かもしれない。そう思った俺は苦し紛れに
四条貴音
「ら、ラーメンでも食べに行くか?」
四条貴音
流石に食べ物で釣るのは無理があるだろうと思いながらも、これ以外に言葉が出てこなかったのだが
四条貴音
「早く!早く参りましょう!」
四条貴音
ウチのお姫さまはかなりチョロかった様子
四条貴音
む、何ですかその顔は?
四条貴音
俺が若干呆れた顔で見てたのに気付いたのだろう。ジト目で睨んできた
四条貴音
まさか、私が食べ物で簡単に釣られたように思いましたか?
四条貴音
心外だと腹をたてるようにこちらを睨む彼女
四条貴音
「あ、じゃあこのまま帰る?」
四条貴音
「後生ですあなた様ぁ!!!」
四条貴音
物凄くチョロかった
四条貴音
腕にしがみついてくるのはまだしも、泣くほどのことなのだろうか
四条貴音
「冗談、冗談だよ」
四条貴音
こんな目立つところで泣かれるのは不味いので、宥めようとしたのだが
四条貴音
「すん…ぐすっ」
四条貴音
中々泣き止まず、愚図っている
四条貴音
普段の彼女からは考えられないほどの幼さだ
四条貴音
「貴音、そんなにお腹がすいていたのか?」
四条貴音
彼女ならあり得るかもしれないと思い、思わず訊いてみる
四条貴音
「い、いえ、その…」
四条貴音
何やら言いにくい様子
四条貴音
「あ~、普段が普段だから別に今更気にしないぞ?」
四条貴音
そう、普段は大人びた彼女なのだが、食べ物に関してはそうではない。本当に今更なことだ
四条貴音
「いえ、そうではなく…」
四条貴音
いつも物事をハッキリと言う彼女にしては、かなり珍しい態度で
四条貴音
何やらモジモジとしている
四条貴音
「わ、笑いませんか?」
四条貴音
「勿論、笑わんよ」
四条貴音
今更彼女のことで動じる俺ではないと、続きを急かす
四条貴音
「そ、その…ですね?」
四条貴音
「うんうん?」
四条貴音
「あ、あなた様と離れるのが…イヤだったの、です…」
四条貴音
「あぁ…」
四条貴音
「…っ///」(カァァッ)
四条貴音
その後、この愛しいお姫さまを力一杯抱き締めた俺をどうか許してほしい
(台詞数: 50)