四条貴音
紗代子、申し訳ありませんでした。その、つい手が出てしまったのです。
高山紗代子
…
四条貴音
本当に済まないと思っているのです。無論弁償致しますゆえ、何卒怒りを沈めて…
高山紗代子
…謝って弁償する。それで済むと思ってるんですか?
四条貴音
何もそのように言わなくとも。では一体どうせよと言うのです。
高山紗代子
…許しません。それじゃ、お疲れ様でした。
四条貴音
紗代子…
二階堂千鶴
…それはあなたが悪いですわよ。あのたい焼き、紗代子は買うのにすごく苦労したんですのよ?
四条貴音
ですが何もあそこまで言わなくとも良いではありませんか。わたくしは非を認め謝罪したのですよ?
二階堂千鶴
許す許さないは紗代子が決める事です、あなたではありませんわ。
四条貴音
それはその通りですが。では、一体どうするのが良かったと言うのです。
二階堂千鶴
…まあ、しばらくはこのままにしておきなさい。落ち着けば紗代子も許してくれるはずですわ。
四条貴音
(後日)小鳥嬢、何かありませんか…と、今日はお休みでしたね。
四条貴音
かっぷ麺の取り置きは…ありませんね、あるのはいんすたんとだけ。
四条貴音
…良いでしょう。わたくしも四条の血を受け継ぐ者、これぐらいの調理はこなさなくては。
四条貴音
では。まず水を鍋に入れて、蓋をする。鍋を載せてからすいっちを入れる、と。
四条貴音
あいえいち、と言いましたか。真に便利な物です、火を使わずにお湯が沸くのですから。
四条貴音
お湯が沸いたら麺を入れて、箸でほぐす。この時間が正確でないと、麺が伸びてしまうのでしたね。
四条貴音
頃合いでしょう。麺をざるに移す、これだけでも随分違うと美奈子より教わりました。
四条貴音
ここでお湯をあらかじめ粉末を空けておいた丼に注ぐ。そして麺を丼に移せば…
四条貴音
完成です!見事ならーめんが出来上がりました。ふふっ、わたくしもやれば出来るのですね。
四条貴音
では早速…おっと、胡椒を忘れておりました。たしか、向こうの棚の中にありましたね。
高山紗代子
…
四条貴音
ありました。急ぎましょう、早く戻らねば麺が…紗代子、何をしているのです!
高山紗代子
あ。ご、ごめんなさい。これ、ひょっとして貴音さんの…?
四条貴音
な、なんという真似を。せっかくのらーめんが、わたくしの最高傑作が…
高山紗代子
す、すみませんでした。その、お腹が減ってたものですからつい手が出ちゃって。
四条貴音
らーめん。わたくしの、手作りらーめん…
高山紗代子
ご、ごめんなさい!ちゃんと弁償します、今度ラーメン奢りますから。ね?
四条貴音
弁償すれば良いというものではありません!わたくしが、あれをどれほど苦労して作ったか…
四条貴音
あ…
四条貴音
同じ、だったのですね。あの時の紗代子のたい焼きも、わたくしのらーめんも…
高山紗代子
すみませんでした。仕返しみたいな事しちゃいまして。でも、そういう事だったんです、あの時は。
四条貴音
ようやく分かりました。あの時あなたがあれほど怒ったのは、苦労して入手したからだという事に。
四条貴音
このような事にも気付けなかったとは。恥ずかしい話です、申し訳ありませんでした。
高山紗代子
いいんですよ、分かってくれればそれで。次からは気を付けて下さいね?
四条貴音
ありがとうございます。しかし、空腹ですね。らーめんはもうありませんし…
二階堂千鶴
戻りましたわよ…あら紗代子、ちょうど良かったですわ。はいお土産。
高山紗代子
わ、これあの限定たい焼きじゃないですか!どうしたんです?
二階堂千鶴
この店は父の同級生、じゃないセレブならではのコネですわ!貴音、あなたの分もありますわよ。
四条貴音
真ですか!
高山紗代子
…千鶴さん、ありがとうございました。でもびっくりしましたよ、急にラーメン食べろだなんて。
二階堂千鶴
どういたしまして。貴音はつまみ食いが多かったですからね、ちょうど良かったですわ。
二階堂千鶴
あの娘はこれぐらいしないと分からなかったでしょう、ちょっと荒療治でしたけどね。
高山紗代子
…ふふ。千鶴さん、すごい事思い付きますね。セレブって言うよりお母さんみたい。
二階堂千鶴
こら!あなたまでそんな事言わないで下さいな、わたくしあなたとそんなに年離れてませんのよ?
高山紗代子
はいはい、どうもすみません。
二階堂千鶴
馬鹿な事言ってないで早くたい焼き食べてらっしゃい。ちゃんと手を洗ってから食べるんですのよ?
高山紗代子
はい、分かりました…お母さん。
四条貴音
千鶴嬢、お代わりは無いのですか?
(台詞数: 50)