伊吹翼
…
二階堂千鶴
いつまでむくれておりますの、急な打ち合わせでは仕方ないでしょう?埋め合わせは今度すると…
伊吹翼
今度っていつですか?琴葉さんの誕生日はお祝いしておいて。私だってULA頑張ったのに。
二階堂千鶴
もう。しょうがないですわね、今回だけですわよ?
伊吹翼
え?
二階堂千鶴
プロデューサーのご褒美の代わりにわたくしがご馳走しますわ。皆には内緒ですわよ?
伊吹翼
…うっわ~!こんな美味しいステーキ、生まれて初めて食べたかも。
二階堂千鶴
滅多に作れない高級品ですわ、じっくり味わいなさい?
伊吹翼
ありがとうございます!本当に美味しい、そんなに柔らかくはないけど肉の味がすごく…
四条貴音
…
伊吹翼
た、貴音さん。いつからそこに?そんな近くで見られると食べにくいんですけど。
四条貴音
邪魔をしようなどとは思っておりません。どうぞ、お気になさらず。
四条貴音
…
伊吹翼
1切れ、食べます?
四条貴音
何もそのようなつもりでは。ですが、たっての申し出とあらばやむを得ませんね…
四条貴音
なんと。これ程の味とは。真に、真に…
四条貴音
…翼。
伊吹翼
これは私のです。もうあげませんよ!
二階堂千鶴
翼、お味はいかがかしら…って貴音!?いつの間に。あなた、レッスンではなくて?
四条貴音
これは千鶴の手になる物でしたか。なるほど、ならば納得がいきます。
二階堂千鶴
いやあのあなた、レッスン…
四条貴音
ご心配には及びません、無事終了しております。それよりも、千鶴。
二階堂千鶴
駄目ですわよ?あれは翼の為に特別に用意した物です、滅多には作れない…
四条貴音
…受け取りなさい。
二階堂千鶴
札束!?何のつもりですの。
四条貴音
先日わたくしが頂いた仕事の契約料です。優れた技に支払うのは当然でしょう?
二階堂千鶴
…お金で何とかしようとは。やっていい事と悪い事がありますわよ、怒られたいんですの?
四条貴音
ひ、ひいっ!?律子嬢を遥かに上回る怒気…で、ですが不公平です!
二階堂千鶴
いやあの、ですからこれは翼へのご褒美に…
四条貴音
見損ないましたよ千鶴、年長者の貴女が仲間内でそのような依怙贔屓をなさるとは!
二階堂千鶴
聞いてませんわね。分かりましたわ、あと少し残ってますから、待ってなさい。
二階堂千鶴
それと。作ってる間、厨房に入ったり覗いたりしてはいけませんわよ、いいですわね?
四条貴音
ありがとうございます…ふふっ、まだでしょうか。一日千秋とはこの事です、待ち遠しい。
四条貴音
厨房を覗いてはならぬとは。まるで夕鶴の物語ではありませんか、真に幻想的な。
四条貴音
…はて。なにゆえに肉の調理とやらを覗いてはならぬのでしょう?
二階堂千鶴
まったくもう貴音と来たら。さて、使える部分が残ってるといいですけど。
四条貴音
(どうやらあの紙袋に肉が入っているようですね…使える部分?)
二階堂千鶴
よいしょっと。これだけあれば足りそうですわね。
四条貴音
(何やら面妖な緑の塊が。はて?どこかで見たような…)
四条貴音
(そうです、思い出しました。あれは以前、麗花の部屋で見た物と同じ…)
四条貴音
お待ちなさい千鶴。その黴の塊を何になさるおつもりですか?
二階堂千鶴
周りをよく削ぎ落として…こら、入るなと言っておいたでしょう!?
四条貴音
…伊織に確認致しました。そのような肉は確かにあると。
二階堂千鶴
熟成肉と言いますの。肉を長期間寝かせて旨味を引き出すのですわ。
二階堂千鶴
衛生面で細心の注意が必要ですが、そこはご心配なく。二階堂家のお墨付きですわよ?
四条貴音
貴女の作る物に心配など致しておりませんよ、早く調理をお願いします。
二階堂千鶴
黴を削ぐ所見たら普通食欲無くしそうなものですけどね。まあ平気ならいいんですけど。
四条貴音
(しかし、妙ですね。伊織はこれは専門の肉屋でしか作れないと。令嬢の千鶴がなにゆえに…?)
四条貴音
(まあ良いでしょう。今はただ余計な詮索などせず、この肉を味わうのみです。)
伊吹翼
あ〜美味しかった、ご馳走様〜♪
(台詞数: 50)