四条貴音
柄杓の形に例えられる北斗七星の柄の先にあるのが、小学生めいど座です。
北沢志保
ぶはっ!?
矢吹可奈
わっ!?どうしたの志保ちゃん?
北沢志保
い、いえ、何でもない。
北沢志保
ーーー可奈と貴音さんに「星を見よう」と誘われ、貴音さんの説明を聞きながら眺めていた
北沢志保
えっと……すいません。そんな星座、本当にあるんですか?
四条貴音
ええ。勿論です。
北沢志保
でもそんなおかしな星座聞いたこと………
四条貴音
確かに聞き慣れぬ星座でしょう。しかし事実として存在するのです。その逸話も。
四条貴音
志保。貴女は過去に小学生めいどを演じたことがありますね?
北沢志保
は、はい。不本意ながら。
四条貴音
ならばその逸話も知っておくべきでしょう。
四条貴音
遥か昔、ある1人の少女がいました。
四条貴音
見た目は普通の少女でしたが、1つだけ他とは異なる点がありました。
四条貴音
………その少女は不老不死の呪いがかけられていたのです。
四条貴音
無論、周りの者からは気味悪がられ、孤独な日々を送っていました。何年も、何十年も。
四条貴音
そんなある日、彼女は1人の青年に出会いました。
四条貴音
青年は彼女の事を知っても気味悪がらず、「見た目も心も普通の人じゃないか」と笑いかけました。
四条貴音
さらに青年は1人なら一緒に住まないか、と言ってきました。
四条貴音
聞けば彼もまた孤独の身であり、路頭に迷っていたとのこと。
四条貴音
その日から、彼女は孤独から解放されました。
四条貴音
自分以外の誰かがいる。ただそれだけで至上の喜びを感じていました。
四条貴音
願わくば、永遠に彼と共に居たい。自らの人生に光を射してくれた彼に尽くしたい。
四条貴音
彼女は彼を「ごしゅP様」と呼び、めいどのように彼に尽くしました。
四条貴音
しかし、その時間も永遠には続かず、彼は老い、彼女を置いて世を去りました。
四条貴音
彼女は悲しみに暮れました。また孤独に戻るのかと。もう彼に尽くすことは出来ないのかと。
四条貴音
その時、彼女は生前の彼の言葉を思い出しました。
四条貴音
「僕がこの世を去ったら、あの北斗七星になって君をずっと見守ろう」、と。
四条貴音
彼女の望みは彼方から見守られる事ではなく、傍で尽くすこと。
四条貴音
彼が北斗七星のなったなら、自らも星となればまた会えるのではないか。
四条貴音
そう彼女は考え、星になりたいと、ひたすらに祈りを捧げました。
四条貴音
………悠久の時が過ぎました。
四条貴音
彼女の意志は星となり、夜空に刻まれました。
四条貴音
過程など誰も分からない。ただ彼に会いたい。その想いが昇華され彼女は星となったのです。
四条貴音
北斗七星に寄り添う、小学生めいど座として………。
四条貴音
……如何ですか?これが小学生めいど座の逸話です。
北沢志保
……知りませんでした。小学生メイドにそんな逸話があったなんて。いえ、そもそも星座だなんて…
四条貴音
では今、本気で演じてみてはどうでしょう?彼女もあの星から見ていますよ。
北沢志保
………そうですね。やります!
北沢志保
おかえりなさいませ、ごしゅPさまっ☆シホ、おやつにアップルパイ焼いたの!一緒に食べようね☆
北沢志保
………ふう。ありがとうございます貴音さん。私、この役にやっと真剣に向き合えた感じがします。
四条貴音
礼には及びません。私はただ星の話をしただけなのですから。
矢吹可奈
貴音さん、協力してくれてありがとうございます!(ゴニョゴニョ)
四条貴音
いえいえ。私にとっても真、良いものが見れました。(ゴニョゴニョ)
四条貴音
「志保の小学生めいどの演技を直接見てみたい」……そう思っていたのは私も同じですから。
矢吹可奈
ところで、あの星座や逸話って本当の話なんですか?
四条貴音
ふふっ、勿論嘘です。私が考えた作り話です。
矢吹可奈
あはは、ですよね〜。
四条貴音
………
四条貴音
(貴女の事、確かに語り継ぎましたよ……。)
(台詞数: 50)