周防桃子
そして、桃子の一回戦の日。今はもう衣装に着替えて、本番を待つだけになっている。
四条貴音
「調子は良さそうですね?」
周防桃子
「うん。ゆっくり休んだし、ソロ曲のおさらいもしたよ。」
周防桃子
貴音さんが言ったとおり、体調は悪くない。ゆっくり休んで、元気になった。
周防桃子
そして、やっぱり自分の歌だけあって、おさらいでも振りつけとかは体がほとんどおぼえていた。
四条貴音
「ふふっ…。頼もしい限りです。」
四条貴音
「先攻は桃子でしたね…。そろそろ、出番のようですよ?」
周防桃子
「そうだね…。じゃあ、行ってくる!」
四条貴音
「はい。御武運を。」
周防桃子
貴音さんに見送られながら、桃子はステージに登った。
周防桃子
ステージから見える観客の人たちの顔から、すごい期待が伝わってくる。
周防桃子
きっと、美希さんと千早さんの戦いのこと、伝わってるんだね…。
周防桃子
桃子は、あの二人のようにはできないけど、でも…!
周防桃子
「みんな～!今日は桃子のことを見に来てくれたんだよね?」
周防桃子
「桃子のカッコいいところ、たっぷりと見せるから、見逃しちゃダメだよ?」
周防桃子
MCが終わって、流れ出すイントロに歓声が上がった。
周防桃子
『こわくない!信じたい! この手で 明日を 変えてみせる』
周防桃子
『HERE WE GO! さあ行こう! 未来へ! 期待してなさいっ!』
周防桃子
「イェイッ!」
周防桃子
ここで、右腕をつき上げたまま、大ジャンプ!
周防桃子
ふだんの流れはとはちがうけど、この歌はきれいなダンスより勢いでいく!
周防桃子
うん!桃子のパフォーマンスで、観客も盛り上がってる!
周防桃子
それに、思った以上に体も動くし声も出る。ふだんとくらべても全然悪くない。
周防桃子
『全力で 走って ここまで 来たんだからっ! もう ちっとも おそれない』
周防桃子
動け。動け。動け。笑顔で、しぐさで、目線で。とにかくアピール!
周防桃子
『あの日 あなたが くれた言葉 行こう! そう 私は 私のスタイルでいいよね!』
周防桃子
完成度が低いなら、パフォーマンスでカバーするよ!
周防桃子
『もう止まらない!無限大! ガールズパワー!!』
周防桃子
体力的にはきびしいけど、ふだんの練習のおかげで、まだ大丈夫!
周防桃子
『HERE WE GO! さあ行こう! 未来へ! 期待してなさいっ!』
周防桃子
アピールポイントが来た!ここで、もう一度ジャンプ…!?
周防桃子
着地の時によろけて、片方のひざが、ステージの床についてしまった。
周防桃子
痛っ…!
周防桃子
でも、こんなときこそ…正面を向いて、笑う!
周防桃子
「みんな、心配してくれてありがと!桃子は大丈夫だよ!」
周防桃子
桃子がマイクで言うと、観客のみんなは応援の声を送ってくれた。
周防桃子
ひざをついたのはわざとじゃないけど、これもアピールになったみたい。
周防桃子
そう。弱いなら、実力がないなら、それだって武器にしてみせる!
周防桃子
『おんなじ夢を見る この空間 誰もがもう ひとりなわけないじゃないっ!』
周防桃子
声がかすれてきたし、動きもにぶってきた。思っていたより、体力を使っていたみたい。
周防桃子
それでも、最後までやりきってみせる!桃子は根性だけなら、誰にも負けないんだから!
周防桃子
『HERE WE GO! さあ行こう! 未来へ!』
周防桃子
『一緒に! 駆け出そう! 期待してなさいっ!』
周防桃子
最後はジャンプもできなかったけど、なんとか腕を上げて。
周防桃子
「…。」
周防桃子
歌いきった…。もう、汗はだくだくで、足はふらふら。
周防桃子
でも、歌が終わったと同時に観客のみんなから起こった歓声は、びっくりするほど大きかった。
周防桃子
…そういえば、最後にすることがひとつ残ってたね。残りの力をふりしぼって…!
周防桃子
「みんな、ありがとー!!」
周防桃子
手をふる桃子に、ファンのみんなは、色とりどりの笑顔と拍手でこたえてくれた。
(台詞数: 50)