三浦あずさ
まぁ…見て、貴音ちゃん
四条貴音
花びらがあんなにも…
三浦あずさ
ああいうの、花筏って言うんですって
四条貴音
なるほど、確かに筏のようですね
四条貴音
散ってしまった花びらにも、あのような美しい姿があるのですね…
三浦あずさ
本当ね、素敵だわ〜
三浦あずさ
…でも、なんとなくだけど寂しさもあるのよね
四条貴音
と、言いますと?
三浦あずさ
あれって、散ってしまった花びらが集まってできているでしょう?
三浦あずさ
いつまでもあの形のまま流れていけるわけじゃないし、散り散りになっちゃうことを考えると、ね
四条貴音
ふむ……
三浦あずさ
…あ、あらあら、ごめんなさいね〜、せっかくのお花見なのに
四条貴音
ふふ、いいのですよ
四条貴音
ですが、そうですね…美しさとは、一瞬の輝きと儚さなのかもしれません
四条貴音
咲き誇る桜も、いつまでもあの姿のままいることはできません
三浦あずさ
散らない桜なんてあったらいいのにねぇ
三浦あずさ
って、それじゃあ春の楽しみがなくなっちゃうわね
四条貴音
ふふ、それもそうですね
四条貴音
……あずさ、花筏は、寂しさを感じてしまうと言っていましたね
三浦あずさ
…うん、そうね
四条貴音
私はそうは思わないのです
四条貴音
…あれは新たな旅立ちを祝う、希望を運ぶ船のように思えます
四条貴音
確かに途中で散り散りになってしまうこともあるでしょう、別れは仕方のないものです
四条貴音
ですが、いずれ川は繋がって、大きな海へ
四条貴音
そう考えると、流れてみるのも悪くないように思えるのです
三浦あずさ
…貴音ちゃんは本当にしっかりしてるわよね
四条貴音
はて、今の私の話にそれが見えたでしょうか…?
三浦あずさ
ううん、性格とかじゃなくて、考え方とかがね
三浦あずさ
私だけじゃそんな考え方はできなかったから、いつまでも寂しく思うだけだったもの
三浦あずさ
だから、しっかりしてるなって、変かしら
四条貴音
ふふ、では素直に受け取っておきます
三浦あずさ
ありがとう
三浦あずさ
……貴音ちゃんの話を聞いたら、川の流れも少し違って見えるわね
四条貴音
川の流れですか?
三浦あずさ
言葉にすると少し照れちゃうけど、笑わないでね?
四条貴音
ええ
三浦あずさ
……川の流れって、時間の流れなんじゃないかなって
三浦あずさ
で、花びらは私たち
三浦あずさ
花びらは流れに逆らうことはできないけど、ああやって他の花びらと出会って、花筏になって
三浦あずさ
逆らうことができないから、出会いも、少し寂しいけど、別れも。素敵なものに感じるの
三浦あずさ
桜は、散ってしまっても私たちになにか伝えたいんじゃないかなって、そう思ったの
四条貴音
………
三浦あずさ
あ、あらあら、変なこと言っちゃったわね、ごめんなさい〜
四条貴音
いえ、あずさのその考え、とても素敵に思いまして
四条貴音
一期一会だからこそ、大切に
四条貴音
よいではありませんか、素敵ですよ
三浦あずさ
そ、そう?ありがとう、少し照れちゃうわね〜…
四条貴音
……では、花筏の行く先、もう少し見てみることにいたしましょうか
四条貴音
果たしてどうなるか、私自身楽しみなのです
三浦あずさ
ふふ、私もよ
(台詞数: 50)