ロコ
【………ぎゃぁ、ほぎゃぁ、……おぎゃぁ………】
ロコ
(……ああ、やっと生まれたのね、赤ちゃん。)
ロコ
(ああもう、生むって事はこんなにも大変な事なんだわ……。)
ロコ
(全く、どうして女だけがこんな大変な思いしなきゃいけないんだろう……。)
ロコ
(……あの人ったら、自分が生んだ訳でも無いのにへたり込んじゃって……。)
ロコ
(つい先刻までは、恥ずかしい位狼狽えちゃってたし……。)
ロコ
(そうね、自分が苦しむのは平気だけど、女が苦しんでるのを見てるのは耐えられないって……、)
ロコ
(貴方、言ってたものね。)
ロコ
(だから、この子は、)
ロコ
(私と、貴方と、二人で生んだ子なのね。)
ロコ
(……正直、この先不安しか無いけれど、)
ロコ
(でも、私達の子が、……貴方がいるから、)
ロコ
(きっと、幸せを築ける……。)
ロコ
(だから………、)
ロコ
(私達の元に……、)
ロコ
(生まれて来てくれて、)
ロコ
(あ り が と う。)
ロコ
(私達の、
ロコ
(私達の、路子。)
四条貴音
……………。
四条貴音
……とても静かな夜だったと、聞いています。
四条貴音
二人の間に生まれた子の名は、伴田路子。
四条貴音
とても悲しい運命の始まりの……、
四条貴音
……束の間の、幸せでした。
(台詞数: 24)