馬場このみ 29歳 プロデューサー33話
BGM
ENERGY_RMX
脚本家
nmcA
投稿日時
2017-11-16 23:29:41

脚本家コメント
第3章「ろーりんぐ〇えっぐ」第4話
【ここまでのお話】
 武道館ライブ後、仮眠をとっていたこのみは5年後の765プロに心だけタイムスリップしていた。自らの身体の変化に戸惑うものの、プロデューサーとして活動することを決意する。
  桃子と育のドラマについていったこのみは収録後、育から相談を持ち掛けられる。それを解決するために昴の番組や恵美の撮影に育を同行させるが上手く成果が上がらない。いったん、このみは律子に相談することにした。
【補足】
チーフは5年前(このみさんがいた時代)のプロデューサーを指します。誤解させて申し訳ないです。

コメントを残す
秋月律子
「今度は育ですか……」
馬場このみ
腕を組んで考え込む律子ちゃんの前に亜利沙ちゃんがお茶を置く。
松田亜利沙
「でも、ひなたちゃんの時と違って何が悩みか分かっているだけマシじゃないですか?」
秋月律子
「どうかしら?このみさんの実感としてはどう?」
馬場このみ
「……正直なところ、同じくらい悩んでいるわ」
松田亜利沙
湯気の立つ湯飲みを持ったまま亜利沙ちゃんが私の言葉に首をかしげる。
秋月律子
「ちょっと説明すれば亜利沙ならすぐに分かるはずよ」
馬場このみ
律子ちゃんがモニターのスイッチを入れ、専用のペンを手に取った。
秋月律子
「育の悩みは今後の方向性をどうするか。これはいいわね」
松田亜利沙
「はい。だったら、育ちゃんのアピールポイントを伸ばせばいいじゃないですか」
馬場このみ
「それがねぇ……」
馬場このみ
律子ちゃんがペンのスイッチを押すとモニターに三つの四角が映し出される。
秋月律子
「アイドルのアピールポイントは大まかに3つに分けられるわ。一つは特技」
馬場このみ
四角のひとつに"特技"という文字が現れた。
秋月律子
「スポーツを活かした昴やのり子、演技力の桃子。歌で勝負する千早や静香、可奈もここね」
馬場このみ
「あとはダンスパフォーマンスで勝負する真ちゃんや響ちゃんに歩ちゃんもかしら」
松田亜利沙
「この枠は多そうですね。それじゃあ、もう一つの四角は……キャラクターですか?」
秋月律子
律子ちゃんは大きく頷いて"キャラ"と書いた。
秋月律子
「セレブな千鶴さんに姫キャラのまつり。あと、茜やひなたもここね」
馬場このみ
「スタイルや出身の特徴もキャラに含まれるわね。風花ちゃんやエミリーちゃん」
秋月律子
「響や真はここにも入ってくるわね。まぁ、大なり小なりみんな重複しているんだけど」
松田亜利沙
「私も同じように重複しそうですね。ところで、最後の四角はなんですか?」
秋月律子
「……これよ」
馬場このみ
ペンがゆっくりと動かされ、"カリスマ"の四文字が浮かび上がった。
秋月律子
「人を惹き付ける力が特に強い子ね。春香や未来、それに美希や翼、あとは朋花」
馬場このみ
「庇護欲で惹き付けるという意味では雪歩ちゃんも該当するわ」
秋月律子
「こういう感じで49人を分けていくんだけど……亜利沙は育をどう当てはめる?」
馬場このみ
亜利沙ちゃんはモニターの目に移動し、前かがみになって3つの四角をのぞきこむ。
松田亜利沙
「……キャラ、ですかねぇ?あとはカリスマでしょうか」
松田亜利沙
「育ちゃんといえば天真爛漫さと頑張る姿でファンのみんなを笑顔にするアイドルです」
松田亜利沙
「天真爛漫さはキャラに当たりますし、見ていて応援したくなる姿はカリスマではないでしょうか」
秋月律子
「そうね、私も同感だわ。じゃあ、育はそれらを伸ばしていけばいいの?」
松田亜利沙
「あっ……」
秋月律子
律子ちゃんがペンを置き、腕を組み直す。
秋月律子
「千鶴さんやまつり、茜みたいな"キャラ"は年齢問わず続けていけるし、変えていける」
秋月律子
「でも、育の持つ天真爛漫さは大きくなると子どものとき程の輝きは無くなるわ」
馬場このみ
「応援したくなる姿も一緒。いつまでもは通用しないもの」
馬場このみ
きっと、育ちゃんはこのことに気付いたのだろう。だから、相談してきた。
松田亜利沙
「でも……」
松田亜利沙
モニターを見つめていた亜利沙ちゃんが口を開く。
松田亜利沙
「こういうことって育ちゃんが初めてではないんじゃないでしょうか」
馬場このみ
「どういうこと?」
松田亜利沙
「はい。例えば……」
秋月律子
「……なるほど。このみさん、一緒に現場へ行って話をしてもらえませんか?」
馬場このみ
「でも、育ちゃんと同じチーフの担当アイドルよ?私が行っていいの?」
秋月律子
「チーフがなんでこのみさんを育と桃子のドラマの収録に付き合わさせたと思っているんです?」
馬場このみ
……なるほど。チーフは端から私に任せていたのか。
馬場このみ
そこまで期待されちゃあね。私は律子ちゃんに大きく頷いた。
馬場このみ
それに太陽のような笑顔のやよいちゃんなら、きっと育ちゃんの道を照らしてくれるはずだ。

(台詞数: 49)