秋月律子
何ですかそれ?
高木社長
おや、知らないかね。音無君なら分かるだろう?
音無小鳥
どういう意味ですかそれは、遠回しなセクハラですよ。
音無小鳥
…まあ、否定はしませんけど。あの特撮の決め台詞ですよね。でもどうしたんです急に?
高木社長
昨日ちょっとネットで見かけたんだ。懐かしかったよ、私の青春時代のヒーローだったからね。
秋月律子
社長の若い頃の作品の決め台詞がすぐに分かるって、小鳥さん…
音無小鳥
に、人気作品なんですってば!
高木社長
はは、すまないね音無君。昨日つい見てしまってね、それでふと思ったんだが。
高木社長
アイドルの日本一というと、やはりトップアイドルという事になるのだろう?
秋月律子
まあそうでしょうね。
高木社長
私たちはさんざんそのトップアイドル、という言葉を使っているが。
高木社長
トップアイドルとは、果たしてどのような存在であるべきなのだろうね?
秋月律子
ちょっと社長、今更そんな事言われても困りますよ。私達の最終目標じゃないですか。
高木社長
いや、確かにそうなのだが。例えばだね、あの番組では日本一が二番目を必ず倒していた。
高木社長
だがアイドルの世界ではどうなのだろう。何をもって倒す、勝ち負けを決めると思う?
秋月律子
そりゃ、色々あるでしょう。曲の売り上げとかライブの数とか、テレビの出演回数とか…
高木社長
まあそうだね、数字の上ではその通りだ。しかしだね。
高木社長
たとえ世には知られていなくても、特定のファンからは一生支持されるような存在もある。
高木社長
そうした存在相手に数字で勝った負けたを主張するのは、ある意味虚しい行為ではないかな?
秋月律子
そんな事言い出したらキリがありませんよ。より多くの人が支持してる、でいいじゃないですか。
高木社長
ううむ、その通りかもしれないが…
秋月律子
ええい。なら、そうした少数派でも納得させられるようなアイドル。これならどうです。
高木社長
なるほどねえ、そんな考え方もあるか。さすがは秋月君だな。
秋月律子
こんな事で褒められても嬉しくありませんよ。さ、お昼休みそろそろ終わりですよ?
高木社長
相変わらず手厳しいねえ。だがその通りだな、午後もしっかり頼むよ?
秋月律子
…社長は本当に思いつきで喋りますね。大丈夫なのかしら、この事務所。
音無小鳥
昔からああいう人でしたから。本当にアイドルってものが好きなんですよ。
秋月律子
そういう見方も出来ますか、なるほど。
音無小鳥
それにしても、大したものだと思いません?
秋月律子
何がですか?
音無小鳥
トップアイドルとはどんなものなのか、芸能事務所の社長でさえ定義を迷うんですよ。
音無小鳥
なのに皆、はっきりとトップアイドルを目指す、って言ってるんです。
音無小鳥
これって、すごい事だと思いません?
秋月律子
よく考えてないだけかもしれませんけどね。
秋月律子
ま、いっか。それじゃあ外回り行ってきます、留守番よろしくお願いしますね?
音無小鳥
はい、頑張って下さいね。目指せ、トップアイドル。ですよ?
秋月律子
たく、能天気というか。ほんと、どうでもいいような事を熱心に考えるわね、ウチのトップは。
秋月律子
…でも。何見てもアイドルに結びつけるってのはさすがよね。ちょっとだけ見習いたいかな。
秋月律子
まあ、その分余計にこっちがしっかりしなきゃいけない気もするけど。さ、頑張って仕事しますか…
高木社長
うーむ、難しい問題だねえ。ズバッと解決、とはいきそうもないな…
(台詞数: 40)