真実の在り処 7
BGM
ライアー・ルージュ
脚本家
Կիշիրա
投稿日時
2017-03-14 20:45:15

脚本家コメント
前が確か344とかです。
次は多分347かなあ。

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最上静香
正直、のり子さんの事情は衝撃的だった。
最上静香
あの人に隠し事をされていたのもそうであるが、驚いたのはこの塔の業の深さだ。
最上静香
そうまでしなくてはならない理由を持つ誰かが、自分ではそれができない誰かが、確かにいる。
最上静香
私はそれを知った日から、のり子さんには関わらないようにした。
最上静香
もうあの人から得られる情報も意味がない。という理由は建前で、
最上静香
本当は、彼女を邪魔したくなかったからだ。あの人は塔に従っている様に見えて何かに抗っている。
最上静香
そんな風に見えた。ここに来てから私の価値観はとても揺れていた。
最上静香
塔を望む人。望まない人。中にいる人。外にいる人。それらの全てが正しい気がしていた。
最上静香
出来ることなら全ての人間が目的を達成してほしい。
最上静香
亜利沙さんやのり子さんや、強い意志を持っている人間が、全員思いを果たせるような。
最上静香
そんな可能性は、果たしてあるのだろうか。
最上静香
……。
最上静香
今、私は再び塔の中で歩き回っている。亜利沙さんとの取引で得た権利。存分に使うつもりだ。
最上静香
塔について、一つ分かったことがある。ここでは全てが管理されている。何をしても筒抜けなのだ。
最上静香
政府、具体的に言うと政府に使われている例の組織にだ。しかし、今は私もその一員。問題はない。
最上静香
しかし、私は今亜利沙さんの秘密兵器であるわけで、私について組織がどう動くのか。
最上静香
それを確かめるためでもあった。まあ、亜利沙さんの話が本当であれば、の話だが。
秋月律子
「あら、お久しぶりね。最近見なかったけど」
最上静香
……秋月律子。のり子さんの研究者側の監視役であり、最も政府の勢力に傾いている人物。
最上静香
ここで彼女が現れたのは、偶然では無いはずだ。
最上静香
「律子さん、お久しぶりです。どうですか諸々の塩梅は」
秋月律子
「いや、もう良いわよ。事情は全部聞いたから」
最上静香
……。
秋月律子
「あなたもこっち側の人間なんでしょ?私に知らされてないのがショックだわ」
秋月律子
「結構従順なつもりなのに、まだ信用されてないのかしら。手強いわね」
最上静香
「あの、私は……」
秋月律子
「いやいや言わなくていいわよ。きっと新しいタイプの監視なんでしょ。毎度の回りくどさね」
最上静香
そういうことになっているらしい。が、これが亜利沙さんの手回しなのか、利用されているのか。
最上静香
……まあ、亜利沙さんが本当のことを言ってたらだけど。
秋月律子
「のり子の件、切羽詰まってるみたいよね」
最上静香
のり子さんは、塔の存亡を、一人で背負っているのだ。どう急がせるつもりなのだろう。
秋月律子
「私は催促しかできないけどね、今のところは」
最上静香
……そういえば、それっておかしいような。今までのやり方なら、もう少し過酷でも良いような。
最上静香
「なんか、ここに来ていきなりのり子さんに甘いですよね」
秋月律子
……。
秋月律子
「そういえば、あなたに新しい指令があるわよ?」
最上静香
指令?亜利沙さんからのだろうか。それとも……。
秋月律子
「はい、お手紙もらって来たわよ。今時古風だけど完全無欠の手法よね」
最上静香
……。
秋月律子
「いったいどんな事が書いてあったのかしら。私を殺せとかじゃないといいんだけど」
秋月律子
「じゃ、私の用はこれだけだから。また会えるといいわね」
最上静香
なるほど。事態は思ったより深刻らしい。
最上静香
話を要約すると、本当に全ては筒抜けだったようだ。例の組織は私の事を勿論把握していた。
最上静香
把握していたというのは、亜利沙さんとの関係からである。つまり……
最上静香
亜利沙さんが組織に対して何かしようとしている事もである。全ては筒抜けだった。
最上静香
しかし、組織にとって私は亜利沙さんの手駒である反面、亜利沙さんの信用する人物でもある。
最上静香
この文面は亜利沙さんの内情を探る、所謂ダブルスパイになれとの内容だった。
最上静香
……勿論拒否権はないのだろうが、私の目的は最初から真実ただ一つである。
最上静香
今どうすべきかなんて、最初から決まっているのだ。
最上静香
……まあ、亜利沙さんが本当の事を言っていたらの話だけど。

(台詞数: 50)