七尾百合子
それでですね、風の力を手に入れた私は颯爽と...
音無小鳥
ふんふん、それから?
秋月律子
お楽しみの所すみませんけどね。百合子、あなたそろそろレッスンの時間じゃなかった?
七尾百合子
あ、そうでした。小鳥さん、続きはまた今度聞いてもらってもいいですか?
音無小鳥
ええ、いつでもどうぞ。
七尾百合子
ありがとうございます!それじゃ、行ってきますね。
秋月律子
お喋りも結構ですけどね、仕事に支障の無い範囲でお願いしますよ?
音無小鳥
その辺はちゃんとわきまえてますよ、ご心配なく。
秋月律子
ならいいんですが。しかしよくまあ妄想の話でそこまで盛り上がれますね。
音無小鳥
いいじゃないですか。楽しくありません、こういうの?
秋月律子
はあ。ま、個人の趣味にケチつける気はありませんよ、どうぞご自由に。
秋月律子
けど百合子と小鳥さんはほんと似てますね。ああいう子が入ってきたのは嬉しいでしょう?
音無小鳥
...まあ。そうですね。
秋月律子
ん?
音無小鳥
何でもないですよ。さて、お仕事お仕事...
音無小鳥
...同じ趣味、か。
音無小鳥
(妄想が好きでいつもおかしな事考えて。その点で言えば確かにあたし達は似ている。だけど。)
七尾百合子
小鳥さん。もしお仕事に行く途中で、帝都を震撼させる事件に巻き込まれたらどうしますか?
七尾百合子
小鳥さん。自分がほんとは異世界の人間だったらとか、考えた事ありません?
音無小鳥
(あの子の妄想の主人公は常に自分だ。自分がそこでどう活躍出来るかを妄想する。)
音無小鳥
(あたしの妄想の中にあたしは出て来ない。主人公は自分でない他の誰か。)
音無小鳥
(そんな他の誰かのやり取りを自分の脳内の特等席で眺める。それがあたしの妄想。)
音無小鳥
(だから、百合子ちゃんの妄想を初めて聞いた時は驚いた。そんな妄想があるのかと。)
音無小鳥
(そして同時思った。この子はいいアイドルになれると。彼女なら必ず妄想したはずだ。)
音無小鳥
(もしもいつか、自分がトップアイドルになれたら、と。)
音無小鳥
(もっともこんな妄想は彼女だけでは無いだろう。きっと他の子達も皆が一度はしたはずだ。)
音無小鳥
(...そう。アイドル時代のあたしが思いも付かなかった、そんな妄想を。)
音無小鳥
(あたしがアイドルとして活躍出来なかった最大の原因。妄想好きの癖にアイドル時代、最後)
音無小鳥
(自分が主役として輝く姿が妄想出来なかった。そして、それは今も...)
秋月律子
...小鳥さん?
音無小鳥
あ、すみません。ついボーっとしちゃってました。
秋月律子
また妄想ですか?しっかりしてくれないと困りますよ。
音無小鳥
たはは、面目ないです...
音無小鳥
(...そう。あたしは主役になった事はない。現実はおろか、妄想の中でさえ。だからこそ。)
秋月律子
ほんと、気をつけて下さいね?この事務所はあなたが頼りなんですから。
音無小鳥
...はい、気をつけます。
音無小鳥
(せめて少しでも、今みたいな事を言ってもらえるよう。そう思って仕事に励んでいる。)
音無小鳥
(願わくばアイドル達はこんな後ろ向きな人間になりませんように...ってそれはないか。)
秋月律子
さてと、私も外回り行ってきます。留守番、お願いしますね?
音無小鳥
はい、行ってらっしゃい。頑張って下さいね、今日もファイトですよ!
(台詞数: 40)