秋月律子
……よそ見しないでくださいね、プロデューサー殿。ハンドル握ってるんですから。
秋月律子
私達は雪合戦に専念してたんですからね。「ソリ」の運転は、プロデューサーに習得してもらって。
秋月律子
まあこうして、空の旅を堪能できますよ。これも、優勝者の特権です、うふふっ。
秋月律子
ほら、見てくださいよ。大きなビルも走る車も、あんなに小さく見えますよ!まるで……
秋月律子
……『ゴミのようだ』なんて言いませんよ!ミニチュアとか、おもちゃみたいって言いたいんです。
秋月律子
……てっきり、ちょっとワイヤーで吊り上げる位だと考えてたのに、本格的な飛行ですね。
秋月律子
……まあ、二人を持ち上げられる機構とか、空を行く当局の許可とか、考えると不思議ですが。
秋月律子
……ええ、一番の関心事はこのソリの動力源ですね。ドローンの比でない揚力をどう出してるか……
秋月律子
……折角の夜間飛行なんだから、もっとロマン溢れることを考えたらどうかって?
秋月律子
はいはい、ロマンもへったくれもない娘で悪うございました!私はこういう人間なんです!
秋月律子
……やっぱりプロデューサーは、他の娘と一緒に夜景を眺めたかったり?例えば、あずささんとか。
秋月律子
……トップシークレットだって、貴音じゃないんですから。その返しは卑怯じゃないですか?
秋月律子
は~。……分かりましたよ。プロデューサーが退屈しないように、ちょっと語ってあげましょうか?
秋月律子
私の好きなものが何か、は、流石にご存知ですよね?
秋月律子
……そうです、ゲームや小説。現実主義そうな私には、意外ですか?
秋月律子
……小説を読んだりゲームで遊ぶとですね。その『世界』を手に入れられた気になるんです。
秋月律子
……だから、支配欲とかじゃないですって。……なんて表現すれば伝わるのかな。
秋月律子
……世界には、色んな楽しいことや嬉しいこと、綺麗なことや素晴らしいことが在りますよね。
秋月律子
でも、どんな人でも『全部』を手にすることは不可能だと思うんです。
秋月律子
昔の人が観た星空は、夜が明るくなった現在では同じものを見られないし……
秋月律子
もちろん逆に、昔の人達はこんな街の灯を眺めることはできなかったわけで。
秋月律子
遠い昔や遥か未来や、現在に限定したって物理的な距離とかがあれば、触れられないものが在る。
秋月律子
お金があっても、存在しないものは入手できないし。存在すら知らない美だって有る筈。
秋月律子
自分の知る『欲しいもの』だけ数え上げても……全部は手に入れられそうにないのに。
秋月律子
……せめて、自分で集められる情報はすべて手にして。体験したつもりになるため『分析』して。
秋月律子
自分では夢想できないイメージの世界は、誰かが紡いだ小説とかゲームで『手に入れて』、ね。
秋月律子
……そうですよ。そういう意味で私は、実に「欲深い」女なんですよ。ふふっ。
秋月律子
……私には、お金も器量も、可愛さも足りないから……手に入れられるものは少ないでしょうしね。
秋月律子
……なんでもないですよ。最後のは、単なる独り言です。
秋月律子
とりあえず今は……この夜景を手に入れられた気分で嬉しいですよ!
秋月律子
……
秋月律子
……いま手に入れられてる『錯覚』は、それだけじゃないですけどね。
秋月律子
……ああもう!聞き直さない、こっちを向かない!わき見運転は厳禁、集中してください!
(台詞数: 33)