秋月律子
……はーい、今夜のレッスンはここまでにするわ。各自クールダウンしてから帰ってね。
野々原茜
いやー、学校とお仕事終えてクタクタなのに、レッスンの段階できっちり仕上げる茜ちゃんだよ~。
野々原茜
……
秋月律子
……
野々原茜
…………
秋月律子
……?
野々原茜
…………
秋月律子
茜。アンタもチャッチャと帰りなさい。疲労が蓄積すると、怪我のもとよ。
野々原茜
……いやいやいやいや、律子さんや。茜ちゃんが聞きたいのは、そんな紋切り型のことじゃなくて!
秋月律子
……あ、そう言うことね。ターンの途中でキメ顔出来るのは凄いわ。誉めてあげないとね。
野々原茜
イェーイ!あの律子さんから、ナデナデ頂きました!やっぱり茜ちゃんはタダ者ではないのだ!
野々原茜
……いや、じゃなくて!ほらほら、茜ちゃんに下される物は、他にあるじゃろうて!
秋月律子
なによ、分かりにくい言い方ね。新規のオファーは来てないから、任せる仕事は無いわよ。
野々原茜
そうそう、茜ちゃんの可愛さを世界に伝えるお仕事は大事だよ~。……でも、それでもなくて。
野々原茜
もー、律子さんも案外焦らしプレイが好きだったり?……ほらほら、今日のプリンをば!
秋月律子
……プリン?そんな差し入れ、届いてないわよ。
野々原茜
スーパージャンボ王様プリンバージョンEX、『一年分』!昨日はお店が定休日だったけど……
野々原茜
もちろん今日は開店してるから~。ささ、新たなるプリンとの邂逅のシーンを、早く早く!
秋月律子
……
秋月律子
……あ、誕生日プレゼントのことね。あれボリュームあったでしょ?
野々原茜
うんうん、ゴーカイだけどメチャウマ、奇跡の宝石箱や~って感じ。一昨日はあれ一個で満足だよ。
秋月律子
年に一度の誕生日だから、奮発してあげたわよ。
野々原茜
律子さんの真心には感謝カンゲキ雨アラレやーっ。……ところで今日のプリンは……
秋月律子
誕生日は『年一回』。そして、誕生日に満足しきる量のプリンをあげたでしょ?
秋月律子
……だから、『誕生日プレゼントの』プリン『一年分』。リクエストはもう充足してるでしょ。
野々原茜
……
野々原茜
うーむ、理論立論については、茜ちゃんでも律子を相手に迎えるのは厳しいか。世知辛いのぉ。
秋月律子
だいたい、一年分なんて無茶な注文受け付けないわよ。アンタだけ特別扱いできないの。
野々原茜
そこをなんとか~。茜ちゃん、可愛いアイドルだけじゃなく、グッズ販売とかでも貢献してるし~!
秋月律子
……そうね。劇場グッズに、期間限定のレストランとアイテムショップ。どれも好評だったわ。
野々原茜
経理を担当してくれた律子さん在ってこそだよ?茜ちゃんのやや弱い部分をフォローしてくれたし!
秋月律子
誉め殺しときたか……まあ、グッズ展開は現在のアイドル業界では軽んじられないし。
秋月律子
そういう点では茜の貢献度は高いわね。……時々売り物のプリンをつまみ食いしてるみたいだけど。
野々原茜
……そーいう律子さんこそ、カマ掛けするなんて酷くない?ファンの為のものは荒らさないよ?
野々原茜
まー時々、試作する材料仕入れるレシートに、個人的なおやつを混ぜたりするけどね!
野々原茜
これも茜ちゃんの可愛さとテンションをキープする必要経費ってことで……
秋月律子
……
野々原茜
……あれ?まさか茜ちゃん、なにか地雷踏んだっぽい?
秋月律子
……経費ってのはね、正しい名目で支出しないといけないんだけど?
野々原茜
ご、ごめんね……これからは、稀によくあることレベルには減らすからさ!
秋月律子
……環、まだ残ってる~?冷蔵庫の『ミラクル冬将軍プリン』、もう一個食べてもいいわよ~。
野々原茜
……そそ、それはまさか!東北の名店の限定商品!?茜ちゃんの分が環ちゃんに狙われる!?
野々原茜
……降参、コーサンしますって!もう二度と変なことしないから、プリン没収はご勘弁を~。
秋月律子
……
秋月律子
……目前のプリン惜しさに、旨い汁を啜れる機会を諦めたってところね。
秋月律子
まあ、事務所的にはそれがいいけど……茜サル、『朝三暮四』を知らず、かしら。
(台詞数: 46)