秋月律子
ん、もう3時か。ちょっとお腹減ったわね、何かつまむものは、と。
二階堂千鶴
でしたらこれをどうぞ。当家のシェフの自信作ですわ。
秋月律子
お、唐揚げですか。いただいていいんですか?
二階堂千鶴
ええどうぞ。あずさもおひとついかが?
三浦あずさ
いただくわね、どうもありがとう。
秋月律子
いただきます…うん、美味しいですねこれ。
二階堂千鶴
喜んでいただけて何よりですわ。良かったらもっと召し上がれ。
秋月律子
ありがとうございます。じゃ、もうひとつ…味が違うんですね、これも美味しい。
三浦あずさ
うーん…
二階堂千鶴
あらあずさ、いかがなさいまして?
三浦あずさ
そうねえ。これ、美味しいのは間違いないと思うけど…
三浦あずさ
何ていうか、平凡な味よね。どこにでもあるというか。
秋月律子
は?ちょっとあずささん、いきなり何言ってるんです?
二階堂千鶴
…そうですの?
三浦あずさ
ええ。少なくとも「美味しかった、また食べたい」と思う程のものじゃないわね。
二階堂千鶴
…なるほど、よく分かりましたわ。あずさはそう思うんですのね?
秋月律子
あ、あの千鶴さん?私はとっても美味しかったですから。ほら、好みは人それぞれですし…
三浦あずさ
うん。味を思い出せるようなものじゃないわね、なんか普通というか。
秋月律子
あずささん、いい加減にして下さい!一体何だってそんな偉そうな…
二階堂千鶴
…
二階堂千鶴
ごめんなさい。ちょっと失礼しますわ。
秋月律子
あ、千鶴さんちょっと!…行っちゃったわ。
秋月律子
あずささん、なんて事言うんです、せっかく作って来てくれたのに!
三浦あずさ
思った事を言ったまでですよ。とおりいっぺんに褒めても参考にならないでしょう?
秋月律子
だからってわざわざケチをつける人がありますか、千鶴さんを怒らせて!
三浦あずさ
あら、そんな事ありませんよ?
秋月律子
はい?
三浦あずさ
うふふ、まあちょっとこちらへどうぞ。
秋月律子
え、どこ行くんですか…あ、千鶴さんだわ。電話中?
二階堂千鶴
(…ええそうですわ。やっぱりインパクトが弱いんですって。だから言ったじゃありませんの。)
二階堂千鶴
(唐揚げは今ブームでどこにでもあるんですもの。今更新メニューにするには厳しいですわよ?)
二階堂千鶴
(もっと研究するよう、お兄様にお伝え下さいな。それじゃ。)
三浦あずさ
…とまあ、そういう訳ですから。
秋月律子
なるほど、ご実家の試作品。それであずささんはあんな事を…
三浦あずさ
単なる手料理なら美味しかった、でいいんでしょうけど。商売ならそれだけじゃいけませんからね。
秋月律子
たしかに。しかしまあ、よく見抜けましたね。
三浦あずさ
千鶴ちゃんがあの手の物を持って来る時って大体ご実家の物の評判を確かめたい時なんですよ。
秋月律子
へえ。じゃ、私も次は遠慮なく意見を述べた方がいいですね。
三浦あずさ
そうしてあげて下さい。
二階堂千鶴
(後日)律子さん、今日はシェフがサンドイッチを作りましたの。おひとついかが?
秋月律子
ありがとうございます。それじゃ、遠慮なく。どれどれ…
秋月律子
うーん…
二階堂千鶴
いかがかしら?
秋月律子
ちょっとその、ぱっとしませんね。なんと言うか、どれがメインの味なのかわからないというか。
二階堂千鶴
そ、そうですの…
秋月律子
あとこのパン、普通の市販品でしょう?もう少し良いのを使わないと風味がどうも…
二階堂千鶴
悪かったですわね!まあ律子さんにはこのセレブな味が理解出来ないでしょうよ、ふん!
秋月律子
…あ、あれれ?何であんなに怒っちゃったわけ?
三浦あずさ
あの律子さん?千鶴ちゃんのお家でサンドイッチはさすがに売らないと思うんですが…
秋月律子
げ!じゃああれ、ほんとに千鶴さんが…すみません千鶴さん、違うんですよ~!
(台詞数: 50)