七尾百合子
律子さん、聞いてください!私、この世界の『秘密』のひとつを見出してしまったんです!
秋月律子
……今度はどんな本に感化されてるわけ、百合子?
七尾百合子
……そんな疑念から入られると、ちょっと立つ瀬無いですよ。
七尾百合子
ええとですね。この世界には間違いなく、『魔女』が居るんです。世界に干渉しているんです。
秋月律子
はいはい、『東洋の魔女』とか『美魔女』は居るわねえ、確かに。
七尾百合子
律子さん、目に見えるものだけを信じるのは誤りの元です!科学すら仮想仮定を出発点にするのに。
秋月律子
「怪力乱神を語らず」って言葉も有るのよ。高説を垂れたいなら、根拠ある形に纏めることね。
秋月律子
……まあ私も、「見えざる手」を差し伸べる神なら語ってもいいかもと思うけど。
七尾百合子
「見えざる手」……
七尾百合子
それは、超能力の解析が進む前のサイコキネシスの別称?離れた岩を持ち上げたりする事ですか?
秋月律子
あのねえ。アダム・スミス!『国富論』!
秋月律子
平たく言うと、市場経済で個人個人が利益を追求すれば、社会全体が望ましい状態になる事よ。
秋月律子
売るために小麦を育てる人がいて、その小麦を仕入れてパンを売る人がいて……社会は成り立つの。
七尾百合子
なるほど!個人個人の利益追求が、図らずも社会を良くしてるって考え方ですね。
七尾百合子
……「神様」のことを経済観念で持ち出すのに共感する点が、いかにも律子さんらしいですが……
秋月律子
閑話休題。それで、百合子が言う『魔女』って、何のことなの?
七尾百合子
はい!ズバリ、『灰色の魔女』です。
秋月律子
……がっつりファンタジー小説の話じゃない。それ、結構古典作品よ。
七尾百合子
……ええと、その小説では、聖女に拒絶ではなく受け入れられることで、魔女は封印されましたが、
七尾百合子
この現実世界では、今もその『灰色の魔女』が暗躍してるんです、きっと!
七尾百合子
……思想の偏りによる破局を防ぐため、特定の勢力が支配的にならないよう、対抗勢力に加担して。
秋月律子
……なんでわたし、こんな妄想話に付き合ってるのかしら。よっぽどヒマなのね。
七尾百合子
……律子さん、気付いていないのですか?この765プロも、『灰色の魔女』の干渉を受けてます!
秋月律子
何の事?
秋月律子
……
秋月律子
真:「……だからボク、フリッフリの白のワンピースとか、仕事で着たいんです!」
七尾百合子
雪歩:「そんな!?真ちゃんは、またタキシードとか着るのが良いよ!みんなそれを求めてるよ!」
秋月律子
恵美:「真、キマるからさあ、タイトスカートのスーツとかいいんじゃない?にゃははっ!」
七尾百合子
春香:「今度のミリオンチャレンジで、美味しいクッキー765枚焼けるか、とかやろうよ!」
秋月律子
美希:「そんなのより、女の子765人に壁ドンできるか、とかのほうがいいって思うの!」
七尾百合子
海美:「ここはさっ!76.5キロ泳げるか、とかにしようよ!私も付き合うよ!」
秋月律子
……
七尾百合子
『灰色の魔女』の干渉を受けているからこそ、真さんの方向性は一つに収束しないんです!
秋月律子
魔女のせいじゃないわよ!個人個人が自分の利益追求に躍起になって破綻してるだけじゃない!
七尾百合子
……ああ。ついに律子さんは『神の所業』まで否定に入ってしまいました。
(台詞数: 35)