秋月律子
あ、このみさん。ちょっと今、お時間貰えますか?
馬場このみ
なあに律子ちゃん?意地っ張りの貴女が頼ってくるなんて珍しいわね、ウフフッ。
秋月律子
……まあ正確には、私の相談じゃないんですけど。
秋月律子
例えばの話ですけど、もしこのみさんがお天気コーナーをやるとしたら、どんな『色』を付けます?
馬場このみ
また唐突な話ね。確かに考えてみれば、奇抜なお天気コーナーって少ないわよね。
馬場このみ
そうだ!毎回各地の『おつまみ』を取り寄せてもらって、それで一杯やりながらお送り……
秋月律子
そうですよね。たいてい何らか、希望が出てくるものですよね。
馬場このみ
話を遮らないでよ!お姉さんちょっと怒っちゃうわよ。
秋月律子
……実は、まだオフレコの話なんですけど。とある農機具メイカーの役員さんがですね。
秋月律子
うちのひなたのことを、すごく気に入ってくれて!今度、お天気コーナーに抜擢してくれるそうで。
馬場このみ
あら、いい話じゃないの。ひなたちゃんは「良い子」だけど、アピールの機会に恵まれてないから。
秋月律子
まあ、当然ながら気象予報士の資格は無いので、原稿読みだけ。「特技」は出せませんけどね。
秋月律子
ここで持ち上がるのが、どうやって『番組の色』を出すかなんです。
馬場このみ
視聴者にウケて、ひなたちゃん自身も生きる内容、ねえ……
秋月律子
ひなたと仕事したことも有るんですが、あの子あんまりワガママを言わないんですよね。
秋月律子
それはそれで有難いんですけど、いざひなたが欲してることを察しようとしても、難しくて。
馬場このみ
分かるわよ。グループ活動してても、上手く水を向けてあげないと発言できないのよね。
馬場このみ
ひなたちゃん、基本的に何でも好意的に捉えるから。日々の生活が楽しめて不満も少ない感じね。
秋月律子
亜利沙が暴走して撮り溜めた写真さえ、感謝しちゃいましたからね。
馬場このみ
ひなたちゃんらしさ……そうだ!旬のお野菜の紹介もするのはどうかしら!
秋月律子
妙案……なんですが、リニューアル前の今がそういうコーナーなんです。同じ内容は下策かと。
馬場このみ
……仕方ない!本人に、どんな内容のコーナーにしたいか直接聞きましょう!
木下ひなた
……
木下ひなた
……そんなこと言われても、お仕事さ貰えるだけで嬉しいべさ。それ以上はわがままでないかい?
秋月律子
ひなた、今はあなたの素直な気持ちを聞きたいの!長く愛されるコーナーを目指すためにも。
馬場このみ
ひなたちゃんが楽しいことが、良いコーナーになる第一条件なのよ。
馬場このみ
お仕事に感謝するなら、それをより良いものにするため、ひなたちゃんもアイデアを出すべきよ。
木下ひなた
そげな事言われても……あたし、アイドルさしてるだけで楽しくて楽しくて仕方ないべさ。
木下ひなた
みんなとレッスンさして。きれいな衣装さ着て。きらきらした舞台に立つの、凄いことだわ。
木下ひなた
今は、そのきらきらの中にいることが一番楽しいと思うんだわ。
馬場このみ
……律子ちゃん、ひなたちゃんのやりたい事、分かったんじゃない?
秋月律子
そうですね。それじゃプロデューサーを通して、先方に伝えましょう!
木下ひなた
……
木下ひなた
『それじゃあ、明日の天気さお伝えするんだわあ。今日の夕方、虹が見えたと思うんだけど……』
馬場このみ
ウフフッ。ひなたちゃんの声、すごく弾んでるわね。仕事を楽しめてる証拠ね。
秋月律子
ええ!音楽番組みたいなセットを組んで、衣装も着込んでお届けする、お天気コーナー!
秋月律子
この意外な取り合わせ、さらにひなたの素朴な語りと人柄が、いま業界で話題沸騰!
馬場このみ
このコーナーがあって、番組もスポンサー企業も好評を得てるみたいね!大・成・功!!
秋月律子
……ただひとつ悔やまれるのは……
馬場このみ
……これ、ラジオ番組って事よねえ。まあ、好評なので結果オーライだけど。
木下ひなた
『……今日は、粉雪みたいにきらきらした白いスカート履いてるんだわあ。すごく素敵だべ。』
(台詞数: 41)