松田亜利沙
ハイハイ~可奈ちゃんお疲れ様~。ソロ曲良かったよ~!ハイタッチ!
秋月律子
あ~。亜利沙?
松田亜利沙
ジュリアちゃんジュリアちゃん!次の次の出番だけど、スポット当たる前に笑顔作ってね。
松田亜利沙
さっきはギター有りだったからか、緊張が滲んでたもん。アイドルちゃんは余裕の笑顔でいないと。
秋月律子
亜利沙……さん。
松田亜利沙
よ~し。次は初披露の新曲だねえ。え、百合子ちゃん、間違えないか不安だって?
松田亜利沙
気にしない気にしない!お客さんも知らないんだよ?歌詞やフリ間違えたって、分かんないって。
松田亜利沙
アイドルちゃんが舞台で歌う歌詞が『正しい』し、踊ったフリが『正解』なのです。
松田亜利沙
だから、練習通りのことができなくても、思考停止して声やダンスを止めなければいいんです。
秋月律子
亜利沙!いい加減にしなさい!
松田亜利沙
ひ~。律子さん。声大きいです!舞台袖の声が客席に届いちゃうのは、ご法度ですよ。
秋月律子
じゃあ小声で言うわよ。亜利沙、アンタ調子に乗りすぎよ。
秋月律子
誕生日プレゼント、何がいいか聞いてみたら、『今日のライブの舞台袖の特別席』って言うから、
秋月律子
特別に座らせてあげたけど。口を出すならつまみ出すわよ。
松田亜利沙
ああ、反省します反省しますから、それだけはご勘弁を。律子さん。
松田亜利沙
他人の公演を、こんな風に観るの初めてだから、つい舞い上がっちゃって。
松田亜利沙
今後はお客さんの一人として、アイドルちゃんに迷惑かけないよう楽しみますから。
秋月律子
……もう、ライブの最後のパートなんだけどね。
秋月律子
……本当のこと言いなさいよ。明日自分が出演するから、不安を減らしたくて、
秋月律子
一日はやく、場の空気を感じておきたかったんでしょ。
松田亜利沙
……見透かされちゃってましたか。ハイ。その通りです。
松田亜利沙
自分の家みたいな劇場とちがって、他所のホールですし、
松田亜利沙
第一回ライブですし……たくさんのアイドルちゃんが乗り越えた試練と分かってても、怖くて……
秋月律子
……アンタ、自分でさっき言ったじゃない。アイドルが舞台でやったことは『正解』なんだって。
秋月律子
アンタが、明日を迎えるために努力したのは知ってる。思いの強さも……多少ズレてるけど凄い。
秋月律子
明日は素直に、ステージで出せるものを出せばいいわ。大丈夫。きっと受け入れてもらえるから。
松田亜利沙
律子さん……私明日は、アイドルちゃんの一人として、勤め上げてみせます!
秋月律子
あ、そうそう。この機会だし聞いておきたいんだけど。
松田亜利沙
はい。何なりと律子さん。
秋月律子
……アンタの喋り方って、どこまでが『素』なの?他のアイドルの口振り、真似したりしてない?
松田亜利沙
……ほ?
(台詞数: 31)