
三浦あずさ
「ええ、すみません~」

三浦あずさ
「……わかってます、絶対にここを動きませんから。それでは、お願いしますね」

三浦あずさ
電話を切ってカバンに入れながら、考える。どうして私ってこうなのかしら?

三浦あずさ
答えが出たことのない疑問にため息をつくと、目の前がほのかに白くなる。

三浦あずさ
ふふ、まだ雪の季節には早いけど、一歩一歩冬は近付いているみたい。

三浦あずさ
……冬、ということはお鍋の季節ね。

三浦あずさ
良いことを思いついた。迎えに来てくれるお礼に律子さんへお鍋を御馳走しましょう。

三浦あずさ
と、なると具材が必要……。

三浦あずさ
うちの冷蔵庫にあったのは……と、考えていると横断歩道の向こう側にスーパーを発見。

三浦あずさ
動かないように言われたけど、ちょっとなら良いわよね?

三浦あずさ
小走りで横断歩道を渡って、スーパーに到着。

三浦あずさ
ほら、迷わなかった♪と誰に自慢するわけでもなく、一人でこっそり上機嫌。

三浦あずさ
……あら?

三浦あずさ
スーパーかと思ったらドラッグストアでした。

三浦あずさ
でも、最近のドラッグストアは何でもそろっているからおなべの具材ぐらいはあるかも。

三浦あずさ
これも何かの縁でしょう。カゴを持って店内へ。

三浦あずさ
あら、いつもの柔軟剤がお買い得ね。

三浦あずさ
コッチも安い。台所の洗剤も切らしていたから助かるわ。

三浦あずさ
あ、そういえば今度また宣材写真を撮るのよね。

三浦あずさ
お勉強のために本屋さんに行きましょうか。確かとなりにあったはず。

三浦あずさ
……ね?あった、あった、本屋さん♪

三浦あずさ
普段は来ない本屋さんだからどこに何があるかは分からないけど……

三浦あずさ
こういう時は似たような女性を探すのが一番ね。

三浦あずさ
あら?あの人のバッグ、ベージュにワンポイントのリボン。かわいいわね。

三浦あずさ
ふ~ん、あのバッグであの服、こんなコーデもあるのね。でも……。

三浦あずさ
そうだ、確か似たようなバッグは私も持っていたわ。

三浦あずさ
……うん、ちょっと試してみましょう!えーっと、向かいにショップがあったわね。

三浦あずさ
ほぉら、やっぱり!このコーデのほうがいいわよ。

三浦あずさ
バッグがあればはっきりするけど、まぁ、ぜいたくは言えないわ。

三浦あずさ
さぁ、出ましょうか……と、思ったけど、試着だけってのは申し訳ないわね。

三浦あずさ
ふふ、がんばった自分への御褒美じゃないけど、このスカーフ試してみましょうか。

三浦あずさ
秋らしいシックなブラウン。使うタイミングは多そうね。

三浦あずさ
……。

三浦あずさ
……モンブラン、食べたくなっちゃった♪

三浦あずさ
隣のカフェ、チェーン店だけどモンブランは侮れないのよね。

三浦あずさ
あら、今日はサービスデーなのね。

三浦あずさ
だったら、私の分と、律子さんの分。あと、小鳥さんと美咲ちゃんと……。

三浦あずさ
そうそう、忘れずに社長さんの分も。

三浦あずさ
あらあら、気づいたら随分と大荷物になっちゃったわ。

三浦あずさ
えーっと、これとこれは一つにまとめて……。

三浦あずさ
これでよし、と!

三浦あずさ
あら、荷物をまとめた途端、律子さんから……。

三浦あずさ
「律子さん、ありがとうございます♪お土産もあるんですよ」

三浦あずさ
「お鍋はごちそうできませんけど、きっと律子さんの口にも」

三浦あずさ
「え、いま、ですか?」

三浦あずさ
「……」

三浦あずさ
「すみません、また迷ってしまいました~」
(台詞数: 47)