紗代子の王子さま
BGM
vivid color
脚本家
平沢ヒラリー
投稿日時
2017-07-01 19:10:16

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高山紗代子
うーん…
高山紗代子
…はぁ。
馬場このみ
お疲れ様。あらどうしたの、鯛焼きを前ににらめっこなんかして。冷めるわよ?
高山紗代子
あ、失礼しました。勿論食べますよ。食べますけど…
高山紗代子
………すみませんこのみさん、ちょっとご相談に乗っていただけませんか?
馬場このみ
相談?
高山紗代子
これ、そこの商店街で売ってるスペシャル鯛焼きなんです。滅多に買えない限定品なんですよ。
馬場このみ
へえ。見た目じゃ分かんないわね。
高山紗代子
そこは否定しません。ですが材料は最高級の上物、焼き加減も素晴らしいんですよ。
高山紗代子
この味わいを引き出す為にこのお店がどれだけ苦労したか。そう思えば簡単に買えないのも当然で…
馬場このみ
もう分かったから。それで、その鯛焼きがどうかしたの。
高山紗代子
すみません。とにかくそんな鯛焼きですからすごい人気で、売りに出たらすぐ売切れるんです。
高山紗代子
で。さっき、劇場に入る前たまたま寄ったら、奇跡的にまだ売ってて。行列に並んだんです。
馬場このみ
ちょっとちょっと。駄目でしょアイドルが行列に並んだりしちゃ。騒ぎになったらどうするの。
高山紗代子
…その通りです。だから、きっと罰が当たったんですね。
馬場このみ
ん?
高山紗代子
せっかく買えたスペシャル鯛焼きを私、落としてしまったんです。しかも、水溜まりの上に。
馬場このみ
あらら…それはお気の毒様。
馬場このみ
あれ。じゃ、その鯛焼きはどうしたの…まさか?
高山紗代子
ち、違います。自分の前に買った人が譲ってくれたんです。あんまり気の毒そうにしてるからって。
馬場このみ
へえ、親切な人がいたもんね。てか紗代子ちゃん、どれだけ落ち込んでたのよそれ。
高山紗代子
お恥ずかしい…その人、お金も受け取ってくれなかったんです。自分はいつでも買えるからって
高山紗代子
何とかまた会ってお礼をしたいと思うんですけど…何か出来そうな事、無いでしょうか?
馬場このみ
うーん…そこにまた行ってバレたらまずいし。顔はともかく名前もわからないんでしょ?
高山紗代子
実は私、その時眼鏡かけてなくて。だから落としたのかもしれないですけど…
馬場このみ
それじゃどうしようもないわね。ま、向こうもお礼とか気にしてないだろうしいいんじゃない?
高山紗代子
でも申し訳ないな…なんか、すっごくかっこいい人っぽかったのは分かるんですけど。
馬場このみ
ん、ちょっと紗代子ちゃん?
高山紗代子
あ。ちち、違いますよ!?そういう意味じゃなくて、その…
三浦あずさ
おはよう、2人とも。あら紗代子ちゃん、そのたい焼きまだ食べてなかったの?
高山紗代子
おはようございます。あれ、どうしてあずささんがこの鯛焼きをご存知なんですか?
三浦あずさ
やあねえ何言ってるの、さっき取り換えてあげたじゃない。
高山紗代子
……え?
馬場このみ
そう言えばあずさちゃん今日パンツスーツね。まさか…
高山紗代子
…すみませんでした、あの人があずささんだったなんて。気付けないなんて酷いですよね?
三浦あずさ
いいのよ、変装してたみたいなものだしね。知り合いも見抜けなかったなら自信つくわ。
高山紗代子
気をつけます。でも変だなあ、そこまで分からないだなんて…
三浦あずさ
紗代子ちゃんの近眼も大変ねえ、方向音痴な私が言うのもなんだけど。
馬場このみ
本当にね…でも、今回はそれが都合良かったから何よりだったんじゃない?
三浦あずさ
あら、どういう意味?
馬場このみ
いくら紗代子ちゃんが近眼でも男女の見分けが付かないわけないじゃない、ましてや親しい人をね。
三浦あずさ
えっと…何が言いたいの?
馬場このみ
わざわざそこまでやる必要ある?紗代子ちゃんとどうにかなるなんて思えないけど。
三浦あずさ
勿論私もそう思ってるわよ。でもやっぱり…ね?
馬場このみ
あっそ。ま、女の子と親しくするのが嫌ってのは分かるような気もするけどね。
高山紗代子
あの人、あずささんだったんだ。なんか、残念。すごく素敵な人だなって思ったのに。
高山紗代子
って何考えてるのよ私ったら。駄目よ、アイドルが不謹慎な。特定の人を好きになるだなんて。
高山紗代子
好きに、なる…?ち、違う違う!そうじゃない、ただお礼したくて、それでもう1度会って…
高山紗代子
でも、実際はあずささんだったのよね…………。
高山紗代子
……お姉さま?

(台詞数: 50)