三浦あずさ
「和装の結婚式も、趣があって素敵ですね」
三浦あずさ
「でもこんなに綺麗な着物、ちょっと緊張しちゃいます」
三浦あずさ
「プロデューサーさん…私、似合ってますか…?」
三浦あずさ
私の問いかけに、プロデューサーさんは「とても似合ってますよ」と答えてくれます。
三浦あずさ
今日のお仕事はウエディング誌の表紙の撮影。
三浦あずさ
今日のお仕事はウエディング誌の表紙の撮影…なんだけど、機材トラブルで少し中断中。
三浦あずさ
あわただしく走り回っているスタッフさんの様子を見ると、まだまだ時間がかかりそうです。
三浦あずさ
…本当は、このままスタジオか、控室で待っていた方がいいはずなのだけど。
三浦あずさ
「プロデューサーさん、この建物の中を少し歩いてきてもいいですか?」
三浦あずさ
私の提案をプロデューサーさんは、自分が同行するという条件で承諾してくれました。
三浦あずさ
――――――――――。
三浦あずさ
服を汚したり、引っ掛けて破いたりしないようにいつも以上にゆっくり、慎重な歩み。
三浦あずさ
「目を離したら迷子になってしまいますから。」とプロデューサーさんが隣を歩いています。
三浦あずさ
方や肩が凝ってしまいそうな、着慣れない着物で、方や着慣れた様子のスーツ。
三浦あずさ
ちぐはぐな衣装を着た二人は、傍から見たらどのように映っているのでしょうか。
三浦あずさ
二人は恋人に見える…なんてことは無いでしょうね。やっぱりアイドルとプロデューサー…?
三浦あずさ
見た目通りの関係でもいいのだけど…出来れば私は、恋人同士に見えててほしい。
三浦あずさ
沢山の人に見てもらえば、運命の人がいつか見つかると思って、私はアイドルになりました。
三浦あずさ
まだ見ぬ運命の人に出会うために、プロデューサーさんと沢山の仕事をこなして。
三浦あずさ
…いつしか、プロデューサーさんを運命の人だと感じるようになっていました。
三浦あずさ
隣を歩くプロデューサーさんを見ると、同じタイミングで顔を向けたみたいで、目と目が合います。
三浦あずさ
あまりにもぴったり過ぎて、思わず笑みがこぼれました。
三浦あずさ
…でも、合わせた目は私だけを見てくれる目ではなくて。
三浦あずさ
事務所の皆を、同じくらい大切に見ている目です。
三浦あずさ
私の方をもっと見てほしい、と思ったりすることも無いことはないですけど…私は大人なんだから。
三浦あずさ
『私は大人ですから一人でも大丈夫ですよ。それより、皆の事を見てあげてください』
三浦あずさ
自分の気持ちに蓋をして、こんなことばかり言ってしまいます。
三浦あずさ
本当は、もう少しだけでいいから私の方を多く見てほしくて。
三浦あずさ
だから、私につきっきりになってくれる今日の仕事はとても嬉しいんです。
三浦あずさ
プロデューサーさんに、こんな素敵な衣装を見せることができましたから♪
三浦あずさ
…そんなことを考えながら歩いていて、ふと気づきます。
三浦あずさ
「あの、プロデューサーさん…ここはいったいどこなんでしょうか?」
三浦あずさ
いつしか私たちは撮影所の外…街中にいました。
三浦あずさ
――――――――――。
三浦あずさ
プロデューサーさんが携帯で現在地から撮影所までの道のりを調べてくれています。
三浦あずさ
迷子になったことに気づいた私プロデューサーさんは、すぐにスタッフさんへ電話しました。
三浦あずさ
電話口から微かに聞こえる声色は怒っている様子ではなく、むしろ笑っていました。
三浦あずさ
「…カメラマンさんがそらさんで本当に良かったわ~」
三浦あずさ
そう呟いたのと同時に、プロデューサーさんが携帯の画面を凝視していた顔を上げました。
三浦あずさ
どうやら帰り道が分かったみたいです。どうやら、撮影所からはあまり離れてないみたいです。
三浦あずさ
ほっと胸をなでおろした後、進みだそうとした私をプロデューサーさんは静止しました。
三浦あずさ
「また迷子になってしまったら大変ですから、手をつないで帰りましょう」
三浦あずさ
そう言いながらプロデューサーさんは手を差し出します。
三浦あずさ
「私のせいでこんなことになってしまって…すみません、プロデューサーさん。」
三浦あずさ
気恥ずかしさと情けなさで、伸ばされた手を取ることを躊躇します。でも、プロデューサーさんは。
三浦あずさ
「気にしないでください。一緒に歩けて楽しかったですから」
三浦あずさ
「…プロデューサーさんは優しい人ですね」
三浦あずさ
私は、伸ばしてくれた手をしっかりととって、強く握りました。
三浦あずさ
「では帰りましょう」プロデューサーさんはそう言って、私を優しく先導してくれます。
三浦あずさ
繋いだ手が温かい…。私は、やっぱり貴方が運命の人であってほしいです。
(台詞数: 50)