三浦あずさ
…動かないで。
豊川風花
ひっ…!?だ、誰…?
三浦あずさ
盗人よ。痛い目を見たくなかったら、その手に持っているスイーツを置いて、両手を挙げて。
豊川風花
えっ…!?このスイーツは、頑張った自分へのご褒美で…。
三浦あずさ
言っておくけど私はプロよ。抵抗なんて無駄と知りなさい。
三浦あずさ
表沙汰になってないだけで、茜ちゃんのプリン盗難事件の半分は私の仕事なんだから。
豊川風花
そ、そんなに恐ろしい人だったなんて…!
豊川風花
お願い!言うとおりにするから、手荒な真似はしないで…!
三浦あずさ
素直で助かるわ。いい子ね…。
豊川風花
…っ!
三浦あずさ
…どうして、手を挙げようとしないの?
豊川風花
挙げないじゃなくて、腕が上がらないのよ…。
豊川風花
その…肩こりがひどくて。
三浦あずさ
…あなたもなの?
豊川風花
え?あなたもってことは、あなたも?
三浦あずさ
そうよ…。ちょっとストレッチを怠ったりすると、すぐに肩にくるのよねえ…。
豊川風花
やっぱり、原因は?
三浦あずさ
あなたの思っている通り。
豊川風花
湿布とか軟膏は?
三浦あずさ
使ってるわ…。でも、気休め程度にしか効かないわね。
豊川風花
マッサージは?
三浦あずさ
一通り試してみたわ。やった直後は少し楽になるけど、すぐに元の木阿弥ね。
三浦あずさ
そういえば、最近噂になってる〇〇マッサージオイルは、使ってみた?
豊川風花
さんざん試してみたわ…。それこそ、オイル風呂に入れそうなくらいには。
豊川風花
一瓶1万円もするのに、オリーブオイルを塗ったのと大して変わらなかったけどね。
三浦あずさ
そう…。じゃあ、あと残ってるのは…。
豊川風花
下着メーカーの××が宣伝してる、補正下着?
三浦あずさ
あれは、デザイン的になんというか…。手段としては最後の最後にしたいなって。
豊川風花
まったく、同感ね…。
三浦あずさ
…はあ。
豊川風花
…はあ。
三浦あずさ
あっ…。私も今ちょっと肩にきたわ。
三浦あずさ
これじゃ仕事にならないし、今日は店じまいにしようかしら。
三浦あずさ
駅前に新しい喫茶店ができたのを知ってる?そこのケーキバイキングは絶品よ。
三浦あずさ
気が滅入る話をしたから、そんなコンビニスイーツじゃなくて、もっといいものを食べたいわよね?
豊川風花
えっ、私も…?
三浦あずさ
そうよ。だって、まだまだ話し足りないじゃない。
三浦あずさ
私の話にここまでついてこれるってことは、まだ隠し玉を持ってるでしょ?
豊川風花
…ええと、□□□っていう雑誌に載っていた、サポーターとか…?
三浦あずさ
何それ!?私、聞いたことない!
三浦あずさ
これは是が非でも聞き出す必要がありそうね。さあ、行きましょう!
豊川風花
ちょっと待って…。私、財布をロッカーの上の棚に置いたから、取れない…。
三浦あずさ
そんなのは気にしなくていいわよ!全部、わたしのおごり!
三浦あずさ
…ああ、もう。喫茶店まで行く時間が惜しいわ!
三浦あずさ
それで、その雑誌は何月号?そのサポーターは何処で買えるの?それと…
豊川風花
(その後、私は喫茶店の閉店までいろいろ聞かれました。どうしてこうなったの…。)
(台詞数: 46)