三浦あずさ
寒さで赤くなった指先に、はあっと息をかける。
三浦あずさ
今日は博物館を貸し切って、新しいイベントのための準備を皆でしている。
三浦あずさ
思い思いのチョコレートを作って、ファンの皆に見て貰うイベント。
三浦あずさ
私はチョコケーキを作っているのだけど…。
三浦あずさ
「チョコレートを溶かさないためとはいえ、寒いわね…」
三浦あずさ
呟きながらもう一度、ふうと息を吹きかけた。
三浦あずさ
周りの皆をみると、指先を擦ったりポケットに手を入れたり、思い思いの寒さ対策をしていた。
三浦あずさ
真似て指を擦り合わせてみると、じんと痺れたような感覚がする。
三浦あずさ
なんとも言えない感覚にちょっと顔をしかめていると、後ろからプロデューサーさんの声。
三浦あずさ
振り向けば、そこにはペットボトルを持ったプロデューサーさんが立っていた。
三浦あずさ
プロデューサーさんは「寒いでしょう」とペットボトルを渡してくれた。
三浦あずさ
ラベルには私の好きなお茶の名前。この人は、私の好みをよく知っていてくれる。
三浦あずさ
「…と言うよりは、皆のことをしよく知っているのよね」
三浦あずさ
ぼそりと呟くと、プロデューサーさんは不思議そうな顔。
三浦あずさ
私は何でもないですよと誤魔化しながら、ペットボトルを受け取ろうとする。
三浦あずさ
ぴとっ。
三浦あずさ
私の指がプロデューサーさんの指に触れる。ずっとお茶を持っていたからか、指先は温かい。
三浦あずさ
「プロデューサーさんの手、温かいですね。」
三浦あずさ
「チョコレートを溶かさないためとはいえ、この博物館は少し肌寒いです」
三浦あずさ
「だから、プロデューサーさんの手を…少し握っていてもいいですか?」
三浦あずさ
私の言葉に慌てた様子のプロデューサーさん。だけど気にせず、キュッと手を握る。
三浦あずさ
…この鈍感さんはきっと、こうしても気付いてくれないだろうけど。
三浦あずさ
慌てふためくプロデューサーさんを楽しみながら、手を握っていると。
春日未来
「あずささ~ん、プロデューサーさ~ん!何やってるんですか!」
三浦あずさ
元気いっぱいの様子の未来ちゃんがやって来た。
春日未来
「プロデューサーさんと握手…ですか?私もまぜて下さい!」
春日未来
「わあっ!プロデューサーさんの手、暖かいですね♪」
三浦あずさ
私が握っていた手は、まるで嵐のように攫われてしまった。流石に取り返すのは大人げないわよね。
三浦あずさ
そう考えていると、プロデューサーさんはなにやらホッとした表情をしていた。
三浦あずさ
その表情がちょっぴり癪だったので、私はプロデューサーさんだけに見える位置に移動して。
三浦あずさ
恨めしそうな視線を向けながら。
三浦あずさ
ぷうっと頬を膨らませた。
(台詞数: 32)