エミリー
...踊りはその後も暫くは続きました、それぞれが勝手気ままに踊るその様は・・・
エミリー
...客観的に見れば、恐らく降霊術の部類になっていたのかもしれません
エミリー
...きっと、英国から米国へと入植していった清教徒達に起きた、セイラムの魔女裁判の冒頭も
エミリー
...年頃の女の子達が、このようにして、踊っていたのかもしれません・・・
エミリー
...その地に眠る、邪悪なものを呼び寄せてしまうとも、気付かずに・・・
矢吹可奈
ねぇねぇ・・・あのね・・・ずっと気になってたんだけど、言っていい?
エミリー
可奈さん、どうかしました?
矢吹可奈
うん、ずっと踊ってたら、なんだか暗闇に目が馴染んできたから、気になっちゃって・・・
矢吹可奈
きっと、皆も薄々気付いていたと思うんだけど、でも、目を背けてたよね
エミリー
杏奈「えっと、何の事・・・?」
矢吹可奈
あれだよ・・・
エミリー
...可奈さんは、私達の囲んでいる焚き火からそう遠く離れていない樹を指差しました
エミリー
...暗闇に馴染み、目が冴えている今だからこそ、はっきりと見える樹
エミリー
翼「あ・・・あれって・・・え?・・・違うよね・・・アハハハ、まさか」
エミリー
...そう、幾多にも分かれて伸びている枝から垂れている"それ"が目に入る
矢吹可奈
杏奈「枝が、折れているだけ・・・だよ、きっと・・・ガクガクブルブル」
エミリー
...否、そんな筈はない、あれは細い枝が折れてぶら下がっている訳ではない
エミリー
...あれほどまでに屈強な太さを誇っている枝が折れている訳が無い
エミリー
...何かの支柱になっていたとしか言い様がないです、そうあれは・・・
エミリー
縄ですよね・・・しかも・・・丁寧に輪っかまで作ってあります・・・
矢吹可奈
・・・
エミリー
...凍りつくその場、火がバチバチと燃える音だけが響く
エミリー
...まるでそれは、決して踏み入れてはいけない地に・・・
エミリー
...お前達は迷い込んだのだと、足を踏み入れたのだと、私達に宣告をしているようだった
エミリー
翼「えっと・・・え~っと・・・アハハハハハハハハ・・・そんなはず」
矢吹可奈
杏奈「でもなんか・・・よく見たら、真下に、ボロボロの靴・・・ガクガクブルブル」
矢吹可奈
うわぁああん・・・私こんなところで死にたくないよっ!!帰りたいよ(泣)
エミリー
???「帰りましょう」
エミリー
...声のする方へ視線を移す、声の主はあずさ先生でした、だけど雰囲気がいつもと違います
三浦あずさ
さぁ、貴方達のいるべき場所へ、帰りましょう
エミリー
...あずさ先生はそう言うと、私達の方へと手を差し出す
三浦あずさ
ニタァ・・・
エミリー
...不気味な笑みを浮かべる、それはあずさ先生がよくする、微笑みとはまるで違いました
エミリー
...「樹海ってさ、4種類の人達が集まる場所なんだって・・・」
エミリー
...ふと、杏奈さんの言葉が脳裏に思い浮かび上がりました
エミリー
...今、私達の目の前にいるあずさ先生は、一体、どれに当て嵌るのでしょうか?
エミリー
翼「あずさ・・・先生?」
三浦あずさ
そうですよ、あずさ先生ですよ、だから・・・私を信じてください
三浦あずさ
大丈夫です、みなさんは絶対に、貴方たちの帰るべき場所に帰れます
矢吹可奈
ほんと・・・?
三浦あずさ
はい、約束しますよ~
三浦あずさ
その代わり、皆さんも約束してください
エミリー
何をですか?
三浦あずさ
私が先導しますから、お互いに手を握り合ってください
三浦あずさ
そして、私がいいと言うまでは、決して誰も、その手を離さないでください
三浦あずさ
決して後ろを振り向かないでください、怖いのなら、目を瞑っても大丈夫ですから・・・
三浦あずさ
ただ、どんなことがあっても決して、握ったその手を離さないでください、できますか?
エミリー
...私達は一度見合ってから、コクリと頷くと、手を取り合いました
エミリー
...私は一番先頭になったので、あずさ先生の手を握る事になりました!
エミリー
...けど・・・握ったその手はとても、冷たかったです
(台詞数: 50)