中谷育
今日はわたしのお誕生日。朝、きもちよく起きることができたよ。
中谷育
……でもなんだか変。お母さんたちの声がきこえないし、なんだかベッドが小さく見えるんだ。
中谷育
それで、顔をあらうのに鏡の前に行ってみたら……
三浦あずさ
育:『わたし、大人になっちゃったみたいなんです!』
三浦あずさ
育:『びっくりしちゃったけど、とりあえず朝ごはんを食べよっと。』
三浦あずさ
育:『でも、お母さんがいないと、食べられないよ……オムライスもまだうまく作れないし。』
三浦あずさ
育:そう思ったんだけど、『私』はトコトコ冷蔵庫の前に行って、卵ややさいを取り出したんだ。
三浦あずさ
育:目玉焼きを焼いてるあいだに、パンをトースターに入れて、それからやさいを切って……
三浦あずさ
育:『私』は、わたしとは違ってすごくじょうずにごはんが作れたよ。
三浦あずさ
育:『私』は、大人の女の人になれたんだよ。お母さんみたいにてぎわがいいんだ。
三浦あずさ
育:でも、ひとりでご飯を食べるのはさみしいなあ。『私』は大人だから、ひとりぐらしなんだね。
三浦あずさ
育:あらいものをしてから、『私』は、鏡のまえで、おけしょうをしたよ。
三浦あずさ
育:すごい……大人の『私』はそのままでもびじんなのに、どんどんキレイになったよ!
三浦あずさ
育:でも、おけしょうしなかったらアニメがひとつ見れたのに。残念だな。
三浦あずさ
育:『おはようございます。』
三浦あずさ
育:『私』は、もう学校をそつぎょうしてるから、朝からじむしょに行くんだ。
音無小鳥
おはようございます、育さん。
三浦あずさ
育:わっ!小鳥さんが『私』を「さん」づけでよんでくれたよ。ビックリしちゃった。
音無小鳥
あの〜、育さん。せっかくのお誕生日に心苦しいんですけど……ちょっと事務を手伝ってほしくて。
三浦あずさ
育:……てつだってって言われても、わたし、事務所のお仕事なんてしたことないよ。
三浦あずさ
育:……グラフを作るの?パソコンで?そんなの、算数の時間でもやってないのに……
三浦あずさ
育:わたしは困っちゃったけど、『私』は机の前にすわって、パソコンのボタンをおしたんだ。
三浦あずさ
育:わたしにはよく分からないけど、『私』はたくさんボタンをおして、数字を入れていったよ。
三浦あずさ
育:……大人の人は、国語字典より小さい字をよんでるんだね。大変だなあ。
三浦あずさ
育:『私』はさいごのボタンをおしたよ。そしたら、カラフルなグラフができたんだ。
音無小鳥
あ、ありがとうございます、助かりました。これ、どうぞ。
三浦あずさ
育:小鳥さんは、わたしにココアとクッキーをくれたよ。
三浦あずさ
育:よかったあ……大人の人が飲んでるコーヒーはにがいから、もらっても飲めなかったよ。
三浦あずさ
育:でも、大人になるってすごいことだね!まほうみたいに色んなことができるんだもの。
三浦あずさ
育:……
三浦あずさ
育:今日の『私』のお仕事は、お誕生日ライブだけだったよ。夕方には終っちゃった。
三浦あずさ
育:そういえばプロデューサーさん、『私』に……
三浦あずさ
『事務所でのパーティはキャンセルして、ふたりきりでご飯を食べに行きませんか?』
三浦あずさ
育:……って言ったけど、ことわっちゃった。みんなのパーティのほうが楽しそうだもん。
三浦あずさ
育:プロデューサーさん、なんだか、かなしそうな顔をしてたかも。
三浦あずさ
育:パーティで、ケーキをたくさん食べたよ。「子供みたい」って言われても気にしないもん。
三浦あずさ
育:でも、赤ワインって言うのに、ぜんぜん赤色じゃなかったのはふしぎだなあ。
三浦あずさ
育:パーティが終わって、『私』はまた、プロデューサーさんとふたりきりになったよ。
三浦あずさ
『やっと僕からのプレゼントを渡せますね。今年は……特別なんです。』
三浦あずさ
育:プロデューサーさんは、すごくしんけんな顔で、『私』の前に小さな箱を出したんだ。
三浦あずさ
育:上にフタが開く、小さな箱の中には、キラキラ光る……
三浦あずさ
……
中谷育
「育!そろそろ起きなさい!」
中谷育
……大きなベッドの中で、わたしは目がさめました。
中谷育
ベッドはやっぱり大きくて、鏡の中の顔はいつものわたしの顔でした。
中谷育
もう……きのうプロデューサーさんがくれたプレゼントのせいで、変な夢を見ちゃった。
中谷育
『いつかは育も、これくらいの箱に入った、給料三ヶ月分のプレゼントをもらうかもな。』
中谷育
コンパクトを渡しながらからかうなんて、女の人にしつれいなんだからね!
中谷育
……でも、プレゼントはうれしかったよ。これでおけしょうのれんしゅうするからね。
中谷育
でも今は、お母さんといっしょのごはんが食べたいな。今日もいいひになるかな。
(台詞数: 50)