
二階堂千鶴
……くすん、くすん……

三浦あずさ
あら~、千鶴ちゃん、また泣いてるの?

二階堂千鶴
あ、あずさしゃん……な、ないてなんかないでしゅわ……

三浦あずさ
先刻、ピアノの先生が意地悪そうな顔をしているのとすれ違ったわ。

三浦あずさ
またあの先生、千鶴ちゃんに酷くあたったんじゃない?

二階堂千鶴
う、う………、

二階堂千鶴
びええええーん!

二階堂千鶴
せ、せんせいが、「千鶴お嬢様はもう七歳になりますのに、まーだラフマニノフも

二階堂千鶴
弾けないのですかー?駄目な子ですわね!オーホホゴホゴホゲフン」……って……

三浦あずさ
むせる所まで再現しなくても良いのよ……。

三浦あずさ
でも困ったわね~。あの先生、お父様に調子の良いこと言ってるから……。

三浦あずさ
でも、千鶴ちゃんを泣かせるなんて許せないわ~。

三浦あずさ
ここはひとつ可愛い姪っ子の為に、何とかお父様を説き伏せて先生を代えて貰いましょう。

二階堂千鶴
え、そんなことしたらあずささん、おじいさまはきっと、かんしゃくをおこされますわ!

三浦あずさ
うふふ、良いから私に任せなさい。

三浦あずさ
姉さんと……貴方のお母様と交わした最後の約束ですもの。

三浦あずさ
千鶴ちゃんは、私が守りますからね?

二階堂千鶴
あずささん……グスッ。

二階堂千鶴
………そういって、あずささんがおじいさまのおへやにはいって……、

二階堂千鶴
なかからきこえるのは、どなりちらすおじいさまのこえと、

二階堂千鶴
いつもはのんびりなあずささんの、

二階堂千鶴
りんとした、つよくうつくしいこえでした。

三浦あずさ
(数分後)

三浦あずさ
爺『どうしても儂の言う事が聞けんというなら……』

三浦あずさ
「仕方無いですわね~……」

二階堂千鶴
【ガタッ】【シャリーン】

二階堂千鶴
……………え?

三浦あずさ
爺『ここで引導渡してくれるわーーーー!!』

三浦あずさ
「あらあら~、年寄りが無理しちゃダメですよ~♪」

二階堂千鶴
ひいいいいい!!

三浦あずさ
爺『このどぐされーーー!!』

三浦あずさ
「冥土にお行きあそばせ~!!!」

二階堂千鶴
(ガタブルガタブル……)

二階堂千鶴
………………。

二階堂千鶴
【二階堂千鶴の忘れ難き記憶、七歳の春の事であった。】
(台詞数: 35)