9:02pm (実話)
BGM
嘆きのFRACTION
脚本家
赤津紀一
投稿日時
2014-07-19 21:02:13

脚本家コメント
あずさ誕生日ドラマ⑥
テーマ:「私小説」
この物語はPの一人称の語りドラマです。

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三浦あずさ
この物語は「9:02pm」を題材にした、実話です。
三浦あずさ
P「ふーーっ、もう今年で三十路、か……」
三浦あずさ
P「ははっ、鏡を見れば、いい年のオッサンが……」
三浦あずさ
P「なあ、あずささん。オレ、幸せ……かなぁ」
三浦あずさ
【とあるプロデューサーの9:02pm】
三浦あずさ
P「ハッピーバースデーあずささん」
三浦あずさ
P「あと、ついでに俺」
三浦あずさ
P(あずささんと同じ誕生日……思えばそれが始まりだったんだよな)
三浦あずさ
P(10年前、俺はゲームクリエイターを夢見る、地方の専門学校生だった)
三浦あずさ
P(ただ単に小さい頃からゲームが大好きという理由で、大した学もなく、パソコンも知らないのに
三浦あずさ
P(俺は地元の専門学校でゲーム科に入った。絵もプログラムもできない自分は企画を専攻していた
三浦あずさ
P(そんなとき、ウチにナムコの開発の人が特別授業にやってきて、俺はそれに参加した)
三浦あずさ
P(そこで、俺たちは今流行っている「アイドルマスター」というゲームを紹介してもらった)
三浦あずさ
P(アイマスの携帯サイトの連動を例に、これからはソーシャルなゲームや、やり取りが主流になる
三浦あずさ
P(そんな感じの講義だった。業界の動向に興味があった自分は、勉強がてらゲーセンにいった)
三浦あずさ
P「おぉ、これがアイマスか……な、なんかプレイするの、すげー恥ずかしいな」
三浦あずさ
P(最初はそんな感想だった。初回プレイを誰にする?という所で、)
三浦あずさ
P「おれ、おっぱい星人だから、一番お姉さんなやつでいーやー」
三浦あずさ
P(というぐらいテキトーにキャラを決めた。正直、内容が知りたかっただけで、誰でもよかった)
三浦あずさ
P(そこで数回プレイした俺は「学生には金ないから無理」という結論に達し、アイマスをやめる)
三浦あずさ
~2年後~
三浦あずさ
P(結局、IT能力が高いわけでもなく、絵など特殊な技能があるわけでもない自分は就職できず)
三浦あずさ
P(ゲーム業界を諦めて、工場で働いていた。当時は三国志対戦というカードゲームが)
三浦あずさ
P(職場の仲間内で流行っていて、それをやるために自分も再びゲーセンに行った。すると……)
三浦あずさ
P「おっ、アイマスじゃん。まだあったんだ」
三浦あずさ
P(地方の田舎町の片隅に、もうブームが去って、人が誰も座らないアケマスがあった)
三浦あずさ
P「500円で10プレイ、1000円で25プレイ!? おぉー安いなぁ」
三浦あずさ
P(コストパフォーマンスに惹かれ、俺は再びアイマスを始めた)
三浦あずさ
P「そういや、こんな子にしてたっけ」
三浦あずさ
P(どこまで進んだかもうろ覚えのまま、俺はあずさのプロデュースの続きを進めた)
三浦あずさ
P「なんかやたら運命の人、運命の人、うるせぇなぁ……」
三浦あずさ
P(少しブラックで夢も希望も女っ気もない職場にいた俺は、いかにも頭の悪そうな恋愛脳の女で)
三浦あずさ
P(そのくせ結婚願望だけはやたらピュアという彼女の性格に、正直いらついていた)
三浦あずさ
P「こんな出来たやついるわけねーじゃん。声や仕草には癒されるんだけど……」
三浦あずさ
P(運命の人を探している、ということはプロデュースする自分は無関係の話だと思っていた)
三浦あずさ
P(俺は知らなかったのだ。上位ランクにいくと彼女がデレるということを。そしてそのまま)
三浦あずさ
P(最初のプレイは彼女のデレを知らぬまま、彼女を悲しませてしまう結果となる)
三浦あずさ
P「あーあ。ゲームでも、やっぱダメか」
三浦あずさ
P(長くプロデュースしているうち、さすがに情が沸いた。その上、自分は叶えたい)
三浦あずさ
P(目標がいつも叶えられぬ男なのだ、と思うと、なんだか悔しい思いもこみあげてきた)
三浦あずさ
P「よし、もう一回……本腰入れて、プレイしてみるか」
三浦あずさ
P(そう思い、まずはネットなどでちゃんとした情報を入れようと、あずさのプロフィールを見た)
三浦あずさ
P「……運命の人、俺じゃん」
三浦あずさ
P(見ると、そこに書いてある、三浦あずさの誕生日は俺の誕生日と同じ日だった。驚いた)
三浦あずさ
P(驚きと同時に、胸の奥から妙な嬉しさがこみ上げてきて――俺はあの日、三浦あずさに惚れた)
三浦あずさ
P(それからもう一度、アケマスをやった。結果はCランクだった。それから色々あって……)
三浦あずさ
P(俺は今、こうして独り身で友人と祝うでもなく、誕生日にあずさへ捧げるドラマを書いている)
三浦あずさ
P(鏡を見れば、そこにいるのはいつも、夢やぶれ、うらぶれたもの悲しいオッサンが一人)
三浦あずさ
P「逢いたい……もっと、心が……君へと……ねぇ……送れたら……」
三浦あずさ
P「一秒だけでもいい……君を今……感じたら……ずっと……」

(台詞数: 50)