たまきと、うりっこ(その参)
BGM
ENERGY_RMX
脚本家
Kozzy
投稿日時
2014-06-16 16:35:22

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天海春香
『環が昼寝をしている中、うりっこ坊やは何処かに行ってしまったようです。』
大神環
坊やぁ!どこ行ったー!?
天海春香
『環は心配になって、辺りをきょろきょろ見回しました。』
天海春香
『ざわざわ茂るアシビの藪の陰にも、ひそひそと揺れるシダの茂みの奥にも坊やはいません。』
大神環
坊やぁ!帰っておいでぇ!!
天海春香
『環がお腹に力いっぱい大声で坊やを呼んだその時、』
天海春香
『微かに坊やの声が聞こえてきました。』
天海春香
かっかーっ!かっかーっ!
大神環
あっ!坊やだ!坊やが呼んでるぞ!
天海春香
『環は、その声を頼りに林の中を走り出しました。』
天海春香
『………』
天海春香
『………、あっ!あんなところに!』
天海春香
『谷底を見下ろす大きな一枚岩のてっぺんに、うりっこ坊やがのっかかっています!』
天海春香
『どうやって登ったのでしょう?登ったくせに降りられなくなって、助けを呼んでいます。』
天海春香
かっかーっ!かっかーっ!
天海春香
『大変です!もし足を滑らせてしまったら、谷底へ真っ逆さまです!』
大神環
坊や、じっとしてるんだ!母さんが今いくからね!
天海春香
『環はそう叫んで、一枚岩を登っていきました。』
天海春香
『てっぺんまで ぶるぶる震えている坊やをぎゅっと抱きしめて捕まえると、』
天海春香
『環は岩の上でぺたんと座りました。』
大神環
さぁ坊や。もう大丈夫だ。下まで滑って下りるぞ。
天海春香
『うりっこ坊やをしっかりと抱っこして、』
大神環
いち、
大神環
いち、にの、
大神環
いち、にの、さん!(シューン!)
天海春香
『環は岩の滑り台を一気に滑り降りました。』
大神環
ほんと、困った坊やだぞ……。
天海春香
『ひりひりするお尻をさすりながら、環はため息をついて、』
大神環
母さんも楽じゃないなぁ。
天海春香
『と、思ったのです。』
天海春香
『環に助けてもらったうりっこ坊やは、もう平気な顔をして林の中を駆け回っています。』
天海春香
『クヌギの木の下にある、でっかい水たまりめがけてジャンプ!』
天海春香
かっか♪かっか♪
天海春香
『泥水を跳ね飛ばし、転げまわったうりっこ坊やは、たちまち泥んこまみれになりました。』
大神環
こら、坊や!
大神環
こら、坊や!もっと上手に転げなさい!
天海春香
『環はそう言うと、自分もぬかるみに飛び込みました。』
天海春香
『泥を跳ね上げ、しぶきを撒き散らし、お互いに泥水をかけ合いっこ。』
天海春香
『ドロドロ ベチャベチャ グチャグチャ バッシャン』
天海春香
『環もうりっこ坊やも、もう何がなんだか解らないぐらい、真っ黒けのどろんどろんです。』
大神環
くふふっ♪これじゃまるで、「うりっこ」じゃなくて「どろんこ」だな!
天海春香
『環がそう言って笑った時、クヌギの木の根元のアシビの茂みがざわりと揺れました。』
天海春香
『そして、その奥から……。』
大神環
『その四に続く!』

(台詞数: 44)