ギターが鳴いてる。
BGM
プラリネ
脚本家
イッパイアッテサ
投稿日時
2015-08-31 22:09:45

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ジュリア
……『ギターを教えてください』、か。
ジュリア
この事務所に来てから、何度も頼まれたもんだ。色んな奴が、あたしのギターを構えてきた。
ジュリア
ある奴は役作りで一時だけやってたし、歌の勉強になるからって弾き続けてる娘もいる。
ジュリア
まあ、人それぞれ、だな。アッサリ辞められても別に腹は立たないし、続けられても感慨は無い。
ジュリア
……そう、そもそもシンガーは孤独なものさ。孤高を気取ろうが気取るまいが、間違いない。
ジュリア
喉は一つ、魂も一つ。シンガーは自分だけを頼りに、自分の全てをぶつけてステージに臨む。
ジュリア
作曲もボイストレーニングも、他人の曲を聴き深めるのも、全てはそのためだ。
ジュリア
バンドは共闘。セッションは勝負。その気概が無きゃ、ボーカルは務まらない。
ジュリア
プレッシャーに勝ち、己に克ち、やっとライバルに勝てる高みに来れる。聴いてもらえる。
ジュリア
絶え間無いプレッシャー……酒やドラッグに溺れる奴が居るのも分かるぜ。あたしはやらないけど。
ジュリア
……シンガーとなろうと決めた日から、孤独を理由に泣く事はやらねえって決めた。
ジュリア
シンガーが孤独であるのが当然なら、自分の選択を泣いて後悔するわけにはいかねえ。
ジュリア
……同級生とは、話は合わなったよ。テレビよりもラジオ、CDよりもレコードだったからな。
ジュリア
流行歌より、古典のパンクを聴いてた。そんなレコード、貸し借りする相手も居なかったからな。
ジュリア
合唱コンクールや学園祭では、目立ってたぜ。他の奴らがついて行けないレベルだったから。
ジュリア
ま、だからこそ……余計孤独になったわけだが。
ジュリア
……学校を卒業して、シンガーになるため街を出た時も、後ろ髪引かれる想いは無かったよ。
ジュリア
……家族以外の見送りも無かったしな。ギターケースと少しの荷物と、事務所の地図だけ持ってた。
ジュリア
……
ジュリア
……まさか、デモテープの送り先を間違えてるなんてな。あたしも抜けてるもんだぜ。
ジュリア
奇妙だと思ったんだ……全身写真とか、素の話し声のテープとか、そんなモンも送れってのは。
ジュリア
ま、そういう訳で。パンクシンガーじゃなくアイドルとして歌うことになった流れさ。
ジュリア
でもときには、ひとりギターを弾くのさ。シンガーとしての自分の覚悟を、再確認するために。
ジュリア
……アイドルになってみて、歌を唄う態度に、ブレというか、幅ができた気はする。
ジュリア
自分を高めて、誰かより秀でて、聴き手にぶつける。それだけが、歌じゃない。
ジュリア
自分を一つのパートにして、仲間と響き合わせて、観客と共有する。それも、歌じゃないかって。
ジュリア
……だから、ギターを教えてくれって言われるたび、微妙な気持ちにもなる。
ジュリア
あたしは丸くなったつもりなんだが……傍からみたら、まだまだとっつきにくいイメージなんだな。
ジュリア
『歌』とか『ギター』を媒介にしないと、みんなあたしと話にくにんじゃないか、ってな。
ジュリア
……なんだろう。歌でやって行くために孤独に負けない誓いを立てたのに、
ジュリア
歌で身を立て始めたら、孤独に勝つ自信が無くなってした。……仲間は、良いものだからな。
ジュリア
……
ジュリア
……やめたやめた。考えても頭が回らないし。あたしの相棒、こいつと歌い合おう。
ジュリア
弾けば必ず応えてくれる、ギター。鬱屈した想いだからこそ、湧くインスピレーションもあるさ。
ジュリア
……
ジュリア
…………
ジュリア
アミ!!ちょっとこっち来い!お前の仕業だろ!
双海亜美
なんだよ、ぷぅちゃん。人に濡れタオル着せるなんて、いただけないよ?
ジュリア
その名前で呼ぶな!それと濡れタオルじゃなくて、濡れ衣だろ!ギターケースに蛙入れるな!
双海亜美
おおう、ドトーの三段ツッコミだねえ。流石だよ〜。
双海亜美
でも蛙は、亜美じゃなくて真美がやったよ。亜美は、ピックをコメ○コに交換しただけで……
ジュリア
うわっ!あたしのピックケースが油まみれじゃねえか!スナック菓子を入れるな!!
双海亜美
最初はポリンキ○を入れようとしたけど、サイズ合わなくて。ジャストフィットするの探すの大変で
ジュリア
んなことに力を入れるんじゃねえ!どうすんだ、ケースが使えなくなるじゃねえか。
双海亜美
そこはそれ、亜美と真美が新しいのをプレゼントするからさあ。大事に使ってね。
ジュリア
へえ、確かに今のはヘタってきたから、新調するのもいいな。サンキュー、アミ!
ジュリア
って、なんだよコレ!なんでチューリップ柄なんだよ!せめて桜くらいにしろよ!……たくよう。
ジュリア
……でも考えてみると、アミやマミは、あたしに貴重な存在かもしれない。
ジュリア
尊敬とか義務感とかで近づいて来ない。ギターとか歌を介さず、距離を詰めてくれる。
ジュリア
……あたしも、たまにはアイツらに構ってやるか。あたしが提供できるのは、ギター教室位だけど。

(台詞数: 50)