箱崎星梨花
私は、天使の子です。お空の国で、ハルマゲドンの時のために勉強していました。
箱崎星梨花
……でもずっと、なんだか仲間外れにされてるのかなあ、と思っていました。
天空橋朋花
「セリカエル。貴女には冷徹さが足りません〜。天の使いは、優しさだけでは駄目ですよ〜。」
箱崎星梨花
私達見習い天使を指導してくれた先輩には、いつもそんなことを言われてました。
箱崎星梨花
剣の授業や、天災を起こすお勉強の時は、確かにみんな真剣で怖い顔をしています。
箱崎星梨花
そんな時も私は、こんな風にニコニコしているそうです。
双海亜美
「セリカっち〜。怖い顔が出来ないの?天使なのに?」
箱崎星梨花
同級生にもこんな事を言われてました。私の方が、変みたいです。
箱崎星梨花
でも、私はいつも笑顔でいたいし、その方がみんなを幸せにできると思ってました。
双海亜美
「先生〜。セリカっちがマジメに授業受けてません〜。アミエル達もテンション下がるよ〜!」
天空橋朋花
「……セリカエルには、無理なのでしょう。主からはその程度に相応しい役割が与えられます。」
天空橋朋花
「皆さんは、主の偉大な御心を体現するため、より高みを目指さねばなりませんよ〜。」
双海亜美
「はーい!落ちこぼれは放っておいて、勉学に励みま〜す。」
箱崎星梨花
……だんだん、みんなの中で居づらさを感じるようになりました。
天空橋朋花
「……」
天空橋朋花
「……セリカエルは仕方が無いのです。私達とは『生まれ』が違うのですから〜。」
箱崎星梨花
放課後、先輩天使達が集まって、そんな話をしていました。
箱崎星梨花
……変なの。私達天使はみんな、神様が造られたのに。『生まれが違う』って、どういう意味かな?
箱崎星梨花
……
箱崎星梨花
ハルマゲドンの少し前、私達に、悪魔を討つための剣や、天変地異を起こす喇叭が渡されました。
双海亜美
「先生、セリカっちは、なんでそんな変な物が貰えるんですかー?」
箱崎星梨花
私には、尖ってない矢と、フニャフニャの弓が届きました。
天空橋朋花
「セリカエルは、人間の恋心を操る弓矢を賜りましたわ〜。」
天空橋朋花
「……ハルマゲドンの最中には、無用の長物ですけどね〜。まあ、好きにふるまいなさい。」
双海亜美
「やーいやーい、セリカっちの役立たず!じゆーけーやくー!」
天空橋朋花
「明日からは、天の軍団の合宿がはじまります〜。皆さん、心するように。」
天空橋朋花
「あ、セリカエルはもう此処に来なくていいですよ〜。貴女はメンバーではないのですから。」
箱崎星梨花
……
箱崎星梨花
私はすごく悲しくなりました。私はきっと、天使じゃないんだ。要らない子なんだ。
箱崎星梨花
……
箱崎星梨花
……行くアテもなく飛んで、気づいた時には人間の美術館にいました。
箱崎星梨花
天の世界とは比べ物にならないけど、綺麗なものが沢山有るお家です。
箱崎星梨花
ハルマゲドンが始まったら、ここも燃えちゃうのかなあ……思わず中に入ってしまいました。
箱崎星梨花
……
箱崎星梨花
『ヴィーナスの誕生』
箱崎星梨花
私は、この絵の前で足が止まりました。何かすごく、懐かしくて愛しい気持ちです。
箱崎星梨花
……
箱崎星梨花
……思い出しました。
箱崎星梨花
私は本当は、天使じゃなくてキューピッド。天の国ではなくて、ローマで生まれた。
箱崎星梨花
ヴィーナスは……私のお母さん。
箱崎星梨花
やっと本当の自分が分かったんです。私はそのままお母さんに会いに、飛んで行きました。
箱崎星梨花
これからは、本当の家族と一緒。戦いじゃない本当のお仕事ができる。すごく嬉しくなりました。
(台詞数: 42)