双海亜美
ものごころが付いた頃には、いつも真美が隣にいた
双海亜美
まあ、双子なんだから当然だけどね
双海亜美
先に生まれたのは真美、後に生まれたのが亜美
双海亜美
だから、双子だけど真美が姉ということになる
双海亜美
昔は、後から生まれた方が着床が早いから姉、という風にされていたんだけど
双海亜美
その理論に根拠がないことが分かって、現在に至るっぽいよ
双海亜美
真美とはいつも一緒
双海亜美
遊ぶ時も、ご飯を食べる時も、お風呂に入る時も
双海亜美
真美はお姉ちゃんだという自覚があったのかわからないけど
双海亜美
いつも亜美をリードしてくれてた
双海亜美
そんな真美を頼もしく、誇らしく感じながらも
双海亜美
心の底では妬ましく思っていた
双海亜美
つい数分早く生まれてきただけなのに、全てにおいて亜美よりも優れていると思ってしまったり
双海亜美
おやつの配分も亜美よりも多いと思ってしまったり
双海亜美
些細なことで劣等感を感じてしまうようになっていった
双海亜美
亜美は毎日願った
双海亜美
「亜美だってお姉ちゃんしたいよ!」
双海亜美
そんなある日、ママの妊娠が分かった
双海亜美
亜美はとても嬉しかった!家族が増えるというよりは
双海亜美
『妹である』という劣等感から抜け出せると思ったから
双海亜美
数ヵ月後、亜美も正真正銘のお姉ちゃんとなった
双海亜美
生まれてきた妹『奈美』
双海亜美
これからお姉ちゃんとして頑張っていこう!
双海亜美
真美に負けないくらいお姉ちゃんしてやる!
双海亜美
そんなある日、奈美のベッドを覗きこむと
双海亜美
奈美はぐったりしていた
双海亜美
身体をゆすっても返答がない
双海亜美
異変に気付いた真美は、すぐにパパとママを呼んで、救急車に電話したが
双海亜美
亜美はただ呆然と突っ立ったままだった、どうすればいいかわからなかった
双海亜美
いや、わかっているつもりだったけど、身体が動かなかった
双海亜美
奈美が病院に運ばれる時、真美の素早い行動を見て
双海亜美
亜美はお姉ちゃんになれないとわかった
双海亜美
そしてその晩、亜美は戸籍上からもお姉ちゃんではなくなった
双海亜美
あれからもう何年も経って、事務所に亜美よりも年の若い子が入ってきたけれど
双海亜美
末っ子の立ち位置は変わらない
双海亜美
でも、遠くにいる唯一の妹、奈美に問い掛けたい
双海亜美
「奈美は今でも亜美をお姉ちゃんと見てくれてるかな?」
双海真美
…………
双海亜美
こういう小説書いたんだけど、売れるかな?
双海真美
嘘はダメっしょ!
(台詞数: 40)