ジュリア
「ここも見納めか」
ジュリア
通い慣れた駅の、あたしだけの場所。
ジュリア
あたしだけの小さなステージに立って、辺りを見渡す。
ジュリア
人々は、そんなあたしのことには御構い無しのようで、気にも留めない。
ジュリア
けど、いいさ、いつか、あたしがスターになったときにでも後悔すればいい。
ジュリア
目を瞑ると、色々な人の足音と、会話の声、色々な音が混じって聞こえる。
ジュリア
雑音だけど、それが心地いい。
ジュリア
あたしの歌も、音も、この中に混じってたんだ。
ジュリア
この中で響いてたんだ。
春日未来
「名無しのお姉さん!」
ジュリア
目を開けると、そこには…
ジュリア
「ああ、あんたか」
ジュリア
「てか、おい、あたしは名無しじゃない」
春日未来
「じゃあ、ぷぅちゃん!」
ジュリア
「ぷぅちゃんでもねえ!!」
ジュリア
「あたしにはちゃんとジュリアって名前がだな!!」
春日未来
「名前、もらえたんですね!」
ジュリア
「ああ、もらえたよ」
春日未来
「ジュリアさん…」
春日未来
「素敵な名前ですね、えへへ♪」
ジュリア
「あ、ありがとな」
春日未来
「ねえねえジュリアさん」
ジュリア
「なんだよ」
春日未来
「名前をもらえたってことはもう…」
ジュリア
「ああ、これから例の事務所に行こうと思ってたんだ」
ジュリア
「ただ、その前に、最後にここで新曲を一曲弾いてこうかなってな」
ジュリア
「ほら、あれだよあれ」
ジュリア
「弾き納めってやつだな」
春日未来
「そうですか…」
春日未来
「寂しくなりますね」
ジュリア
「お、おい…なんで泣いてるんだよ」
春日未来
「えっと…えへへ、わかんないです」
ジュリア
「大丈夫だって、この別れは、今生の別れじゃない」
ジュリア
「だってあたしは、絶対スーパースターになるからな」
ジュリア
「だからこのまま消えたりなんかしない、すぐに会えるって」
春日未来
「ほんとですか?」
ジュリア
「ああ、約束だ」
ジュリア
「そういや、あたし、あんたの名前、聞いてなかったな」
春日未来
「私ですか?」
ジュリア
「ああ、教えてくれないか?」
春日未来
「私、春日未来って言います!えへへ♪」
ジュリア
「春日未来か…いい名前だな」
春日未来
「ありがとうございます…なんだか照れますね」
ジュリア
「未来、それじゃあ、あたしがここで歌う最後の一曲聞いてくれるか?」
春日未来
「はい!是非!」
ジュリア
「えっと、言いそびれる前に言っとく…色々、ありがとな」
ジュリア
「あたしの音色…未来の心に響かせるからさ、忘れるなよ」
ジュリア
「あたしがここにいたってこと…」
ジュリア
「それじゃ聞いてくれ」
ジュリア
「春の日が未だに来ない」
(台詞数: 50)