Encore
BGM
未来飛行
脚本家
ちゃん@春の日
投稿日時
2017-02-14 01:41:56

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春日未来
ステージの幕が降りた。
春日未来
彼女が観ていた光景は暗転する。
春日未来
この暗幕の向こう側の世界はあまりに輝いていた。
春日未来
その幻想的な光景に胸は躍り、目はその海を泳ぎまわった。
春日未来
その時間は、あまりに長くて、あまりに一瞬だ。
春日未来
別れの時を告げる鐘が鳴った後には…
春日未来
まるで世界を二つに分かつ様に、彼女は闇の世界の方へ誘われ、隔離されてしまった。
春日未来
暗闇に零れる少女の吐息。
春日未来
今日も頑張ったと自分に言い聞かせているのだ。
春日未来
あれほど歌って、踊ったというのに疲労感は全くない。
春日未来
寧ろ、宙にぷかぷかと浮いているような不思議な感覚を覚えている。
春日未来
これもアドレナリンが出ているお陰なんだろう。
春日未来
けれど、彼女の耳に入ってくる荒い息遣いは物語っている。
春日未来
汗は身体中から吹き出しているし、額から溢れ落ちたそれが鱗のように床に跳ね返っている。
春日未来
暗幕の向こう側。
春日未来
輝きの向こう側はやけに騒がしい。
春日未来
こんな私なんかと再会を求めて、会場全体が沸いている。
春日未来
響き渡る声援は次第に大きさを増していき…
春日未来
彼女を望む声は天に高く昇り、会場を包み込む熱気と混じる。
春日未来
熱狂的とは正にこの状態を指しているのだろう。
春日未来
熱狂的渇望は暗幕で遮られた暗黙を突き破り、彼女に降り注ぐ。
春日未来
それが返答の頃合いか…
春日未来
答えは単純だ。
春日未来
心に触れた、全ての声が、彼女にとっては大切な全てだろう。
春日未来
感謝してもしきれない。
春日未来
こうしてもう一度会えるのだから…
春日未来
そこに、感激の涙はないだろう。
春日未来
仮にもし、そうだとしても…
春日未来
きっと、汗だと言い切るであろう。
春日未来
ただ、笑顔でいよう。
春日未来
それが、彼女なりの決意であり。
春日未来
それが、彼女なりの礼でもあり。
春日未来
それこそが、返事なのだろう。
春日未来
いよいよ、アンコールの時間だ。
春日未来
ステージの幕が上がる。
春日未来
また皆に会える。
春日未来
その喜びを噛み締める彼女に待っている世界。
春日未来
それは、何色だ。

(台詞数: 38)