春日未来
急に目が覚めた。
春日未来
なんでだろうと思ってキョロキョロと周りを見回したけど、みんなが寝ているだけだった。
春日未来
壁に掛けられた時計は4を指している。首を傾げて布団に潜り込んだ。
春日未来
……
春日未来
眠れない。昨日は遅くまで喋っていたんだけど……。
春日未来
しばらく布団の中でモゾモゾと寝返りをうっていたが、観念して身を起こした。
春日未来
……時計の針の音が冷たく部屋に響き、私の耳にカツカツと刺さってくる。
春日未来
隣の静香ちゃんを起こさないようにそっと布団を抜け出し、縁側へ歩み寄る。
春日未来
硬い草で編まれた椅子に腰掛け、窓から外を覗く。
春日未来
空に星はなく、月も1人ぼんやりと輝いている。薄い雲が月の前を通り過ぎていく。
春日未来
……背後から時計の針が私の耳をノックする。
春日未来
もっと月を見たくて、そっと、窓を開け、身を乗り出す。冷たい空気が私を包む。
春日未来
月は綺麗だった。
春日未来
……でも、何も聞こえなくて、星は見えなくて、ただぼんやりと光っているだけで、
春日未来
月はとても小さくて、その身を縮こませているようで……
春日未来
……そして、この月を見ているのは私だけのような気がして。
春日未来
ブルリと身体が震えた。そっと窓を閉める。
春日未来
……時計の音が耳につく。
春日未来
布団へ戻ろうと腰を上げる。目の前に小さな影が一つできた。
春日未来
部屋を見渡す。
春日未来
スースー……ピーピー……クークー
春日未来
確かにみんながいる。
春日未来
でも、どうして……1人だと感じるのだろう。
春日未来
……布団ヘ戻る。ほのかに残った暖かさが心地いい
春日未来
瞼を閉じればまんじりとするはずだ。そして、
春日未来
きっと、きっと目を覚ませばこんな寂しさは無くなるはずだ。
春日未来
……
春日未来
そっと静香ちゃんの手を握る。手が急速に暖まっていくのを感じる。
春日未来
……良かった。
春日未来
私はゆっくりと目を閉じる。
春日未来
そうだ。少しだけ寝坊しよう。そしてみんなに起こして貰うのだ。
春日未来
……
春日未来
まだ1人でいることはできそうにない。
春日未来
でも、いつか、いつかあの輝く月のようになったら……
春日未来
でも、その日まではみんなと一緒に……
春日未来
…………
(台詞数: 36)