夏霞 19:どんぐりの約束
BGM
チクタク
脚本家
Kozzy
投稿日時
2016-08-22 00:56:28

脚本家コメント
リレー企画ドラマ「夏霞」、第19話です。
素敵なドラマシアターPが集まったこの作品集に、自分が参加出来るなんてとても光栄です♪
第20話は、鋼P様です。
ご期待ください!
前話(18話)…村人KMRP様
http://imas.greeーapps.net/app/index.php/short_story/info/uid/500000000000001106/seq/92

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野々原茜
「ジャジャーン!君が春日未来ちゃんかニャ?」
春日未来
「えぇっ!ネコが喋ってる!?」
春日未来
8月31日の朝。夏休み最後の日に何か思い出をつくろうと考えていた私の部屋に、
春日未来
1匹の喋るネコが現れた。
野々原茜
「未来ちゃん、君を迎えに来たニャ。会ってほしい方がいるニャ」
春日未来
「私に……ですか?」
春日未来
そうネコさんのお誘いを受け、外に出る。
春日未来
朝だというのに、車どころか人の気配も感じない。不思議な空間が支配していた。
春日未来
――――――
野々原茜
「ささっ、到着したニャ」
春日未来
「えっ、ここって……」
春日未来
着いた場所は、見覚えのある駄菓子屋さん。
春日未来
小さい頃、よく来ていた駄菓子屋さんだった。
春日未来
(あれ、ここの駄菓子屋さんは駐車場になっちゃったんじゃ?勘違いしてたのかなぁ……)
野々原茜
「どんぐりん、連れてきたニャー」
春日未来
ネコさんは、駄菓子屋さんの隣に生えている大きな木に声をかける。
野々原茜
『ありがとうネコさん。そして未来ちゃん久しぶり、大きくなったね』
春日未来
ただでさえネコが喋る事に驚いていた私だが、
春日未来
今度はよく知っているドングリ木が話しかけてきた事に、さらに驚いた!
野々原茜
「どんぐりんはね、君に話があるんだって。耳かっぽじってよ~く聞くニャ」
野々原茜
『昔、未来ちゃんがお菓子を買って、わしに登ってそこで食べてたのを昨日のように思い出すよ』
春日未来
「そんなことしてたな~。そこから見える景色がキレイだったから。えへへ♪」
野々原茜
『……でも、それももう無くなってしまうんだ』
春日未来
「えっ!どうして?」
野々原茜
『ここはもうすぐ駐車場になって、わしは切り倒されることになっている』
野々原茜
『ちょっと早いけど、昔よく遊びに来ていた未来ちゃんに、』
野々原茜
『さよならを言いたくてネコさんに協力してもらったんだ』
春日未来
「そんなぁ……」
野々原茜
『そこで、頼みたいことがあるんだ』
春日未来
「うん!私にできることなら、何でも言って!」
春日未来
すると どんぐりんさんは、大きく葉を広げてゆっくりと枝を伸ばし、
春日未来
私の手のひらに、ドングリを一粒。
野々原茜
『この子を、この街を見渡せるところへ植えてあげてほしい』
春日未来
「この子を?うん、任せて!」
春日未来
私の手のひらへ、ドングリの命のカプセルが渡される。そんな感じがした。
春日未来
「ねぇ どんぐりんさん、また木に登ってもいい?」
春日未来
「もうちょっと、お話しないな~」
野々原茜
『えぇ、喜んで』
春日未来
――――――
春日未来
おもいっきり お話したあと、家に戻り私は早速ドングリの育て方を一日中調べた。
春日未来
晩ご飯のカレーを食べながら本を読んでいたので、お母さんに怒られちゃったけど。
春日未来
ドングリの苗を植えれるのは、来年という長い約束になりそうだ。
春日未来
でも、夏休み最後にやってきた不思議な出来事は忘れないし、
春日未来
約束もちゃんと守りたいと思っている。
春日未来
「あ~、今日はホント不思議な日だったな~」
春日未来
「明日、静香ちゃんや翼に会ったら自慢しよっ。でへへ~♪」
春日未来
「ふぁ……、色々あったから……眠たいや。早いけどもう寝よっと」
春日未来
「…………」
春日未来
(ちゃんと、覚えていられるよね?)

(台詞数: 49)